【1988】 △ ジェレミー・シルバーストン 「バーナビー警部(第4話)/誠実すぎた殺人(愛する人のためならば)」 (98年/英) (2002/05 NHK-BS2) ★★★ (△ ジェレミー・シルバーストン 「バーナビー警部(第5話)/沈黙の少年(祈りの館に死が宿る)」 (98年/英) (2002/04 NHK-BS2) ★★★)

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レズビアンとか新興宗教とかミッドサマーでは色々あるね。2作ともプロットがやや弱いか。

誠実すぎた殺人dvd.jpg FAITHFUL UNTO DEATH dvd.jpg   沈黙の少年dvd.jpg DEATH IN DISGUISE dvd.jpg
バーナビー警部~誠実すぎた殺人~ [DVD]」"Faithful unto Death"(誠実すぎた殺人)/「バーナビー警部~沈黙の少年~ [DVD]」"Death in Disguise"(沈黙の少年)
02誠実すぎた殺人.gif 村人が資金を出しあった工場の経営が行き詰まり、責任者のアラン・ホリングスワース(ロジャー・アラム)を糾弾する声が高まっていた。批判者の急先鋒グレイ(マーク・ベズレイ)はチャリティーバザーで「殺す」とアランに脅しをかける。最悪の事態を回避するため捜査を始めたバーナビー(ジョン・ネトルズ)は、アランの妻シモーヌ(レズリー・バイカレッジ)が実家に帰ったのではなく何者かに誘拐され、出資金は身代金に使われたものと推定する。トロイがホリングスワース家誠実すぎた殺人02.gifを見張っていたが、ブレンダ(ミシェル・ドゥートリス)の手引きでアランはトロイをまいて何処かへ行ってしまい、アランを追っていたブレンダが何者かに殺されてしまう。更にブレンダに続きアランが睡眠薬で何者に殺され、前夜訪れていたパブの主人ナイジェル(ポール・ブルック)の指紋がそこら中から検出される。だがナイジェルは犯人ではなかった。バーナビーは捜査の末、シモーヌの元恋人ビンス・ペリー(アンドリュー・ポール)を逮捕する。バーナビーは犯人一味を逮捕し追及するが、主犯を有罪にもちこむ決定的証拠に欠けていた―。

Faithful Unto Death.jpgFAITHFUL UNTO DEATH title.gif トム・バーナビー警部のシリーズの第4話「誠実すぎた殺人」(原題:Faithful unto Death)の本国放映は1998年4月、日本では2002年5月から6月にかけてNHK‐BS2にて前後編(第9話・第10話)に分けて初放映され、その時のタイトルは「愛する人のためならば」でした。原作はキャロライン・グレアムのシリーズ第5作"Faithful unto Death"(1996年発表)ですが、2013年現在邦訳はされていません。

 第1話「謎のアナベラ」でバジャーズドリフトを舞台に近親相姦を、第2話「血ぬられた秀作」でミッドサマー・ワーシィを舞台にホモセクシュアル、女装癖をモチーフとして扱い、第3話「劇的なる死」でもフェーンバゼットを舞台に軽いタッチではあるもののゲイの世界を扱って、そしてこの第4話ではレズビアンと、まあこのロンドン郊外の架空の州ミッドサマーでは何でもありなのかという印象も。

 ラスト、主犯格が逃げおせてしまいますが、トロイ巡査部長(ダニエル・ケイシー)から相方の現在を知らされ、自らの愛が破れたことを悟った共犯者が自供に靡くことを示唆して終わっています。でも、やはり、ちょっとカタルシス不足かな(トロイは結構重要な役回りをバーナビーから任されたことになる。ちゃんと権限委譲による部下育成してるね)。

Death in Disguise.jpg 続くシリーズ第5話「沈黙の少年」(原題:Death in Disguise)は、本国放映は1998年5月、日本では2002年4月から5月にかけて前後編(第5話・第6話)に分けて初放映され、その際のタイトルは「祈りの館に死が宿る」。原作はキャロライン・グレアムのシリーズ第3作"Death in Disguise"(1992年発表)ですが、これも2013年現在邦訳はされていません。

02沈黙の少年.gif 新興宗教団体ゴールデンウィンドホースロッジのメイ・カトル(ジュディ・コーンウェル)から、教団設立時の出資者の一人ウィリアム・カーター(ロバート・ピッカバンス)が階段から落ちて死んだとの知らせがバーナビーに入る。事故ということで片付いたものの、嵐の夜、屋根飾りの砲弾が落ちて危うく信者に当たりそうになる不審事が起きる。新参の若い沈黙の少年3.gif沈黙の少年01.gif信者クリストファー・ウェンライト(ステファン・モイヤー)は、信者の一人スハミことシルビー・ガムラン(アンナ・ボルト)と仲良くなる。スミハの父で俗物の金持ちガイ・ガムラン(マイルズ・アンダーソン)は、娘スハミの誕生日祝いに団体を訪ねて娘に贈った大金を、彼女が全て教祖イアン・クレイギー(マイケル・フィースト)に寄付したため激怒する。そのスハミの誕生日の祝いの席で、教祖は何者かに刺殺される。事件の鍵を握るのは自閉症の物言えぬ少年だった―。

 う~ん。ミッドサマーには新興宗教団体まであるんだなあ。美しい自然に恵まれた環境ながら、そこには怪しげな人物がいっぱい。メイは、古代ローマの将軍に憑依されて託宣をのたまうし、施設内で養蜂をしている老夫婦も昔は売春宿を違法経営していたらしい...。

沈黙の少年 06.jpg 教祖の殺害が、部屋の灯りが消えた一瞬の隙に行われるのは、クリスティの『予告殺人』を想起させるし、言葉を発することがなかった少年が、何者が教祖を刺したのかというバーナビーの問いに初めて発した言葉が「マジック」であるというのもクリスティの『魔術の殺人』を意識してか。憑依による儀式が行われるところは『蒼ざめた馬』もそうであるし、クリスティへのオマージュが感じられるととるのは、穿ち過ぎた見方でしょうか。

 第4話「誠実すぎた殺人」に比べてプロットはそう複雑ではないけれど、犯人が最後まで分からなかったのは、動機となる係累が最後まで伏されていたことによるかと思います。

 2作とも原作は全てがこの通りではないようですが、今まで邦訳されていないのは、ややプロット的にカタルシス効果が弱かったり地味であるというのもあるのではないかな。これらの映像化作品によって、田園風景や人々の暮らしぶりなどは楽しめましたが。

FAITHFUL UNTO DEATH06.jpg「バーナビー警部(第4話)/誠実すぎた殺人(愛する人のためならば)」●原題:MIDSOMER MURDERS:FAITHFUL UNTO DEATH●制作年:1998年●制作国:イギリス●本国上映:1998/04/22●監督:ジェレミー・シルバーストン●脚本:アンソニー・ホロウィッツ●撮影: ナイジェル・ウォルターズ●原作:キャロライン・グレアム●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ダニエル・ケーシー/ジェーン・ワイマーク/ローラ・ハワード/バリー・ジャクソン/ロジャー・アラム/レズリー・バイカレッジ/ポール・ブルック/ロザリンド・アイレス/エレオノーラ・サマーフィールド/ピーター・ジョーンズ/ポール・チャプマン/ミシェル・ドゥートリス/ソフィー・スタントン/マーク・ベイズレィ/テッサ・ピーク-ジョーンズ●日本放映:2002/05●放映局:NHK‐BS2(評価:★★★)

沈黙の少年 07.jpg「バーナビー警部(第5話)/沈黙の少年(祈りの館に死が宿る)」」●原題:MIDSOMER MURDERS:DEATH IN DISGUISE●制作年:1998年●制作国:イギリス●本国上映:1998/05/06●監督:バズ・テイラー●脚本:ダグラス・ワトキンソン●撮影: ナイジェル・ウォルターズ●音楽 : ジム・パーカー●原作:キャロライン・グレアム●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ダニエル・ケーシー/ジェーン・ワイマーク/ローラ・ハワード/バリー・ジャクソン/ロバート・ピッカバンス/マイケル・フィースト/ダニエル・ハート/アンナ・ボルト/マイルズ・アンダーソン/スーザン・トレーシー/コリン・ファレル/ダイアン・ビル/ジュディ・コーンウェル/チャールズ・ケイ/ステファン・モイヤー●日本放映:2002/04●放映局:NHK‐BS2(評価:★★★)

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