【1982】 ○ エリック・ウォレット 「クリスティのフレンチ・ミステリー(第10話)/スリーピング・マーダー」 (12年/仏) (2012/09 AXNミステリー) ★★★☆

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初めは改変過剰の気がしたけれど、終わってみればまあまあマトモな翻案になっていた。

フレンチ・ミステリー/スリーピング・マーダー dvd.png フレンチ・ミステリー/スリーピング・マーダー01.jpg フレンチ・ミステリー/スリーピング・マーダー02.jpg
DVD(輸入盤)
フレンチ・ミステリー(第10話)/スリーピング・マーダー.jpg 20歳のサーシャは閉じ込められていた精神病院から脱出し、密かに所持していた大金で空き家となっていた邸宅を購入して身を潜めるが、その最初の晩から、邸の階段下に血まみれになった女性の姿が見えるという恐ろしい幻想に苛まれる―。

スリーピング・マーダー クリスティー文庫.jpg ポワロやミス・マープルに代わって、ラロジエール警視とランピオン刑事のコンビが事件を解決していく「フレンチ・ミステリー」の2012年の新作で、このシリーズは改変の妙が楽しいのですが、原作で新婚ほやほやの若妻で、強い前向きの意志を持った女性だった主人公が、この作品では、精神不安定で離婚して精神病院に入れられていた女性に置き換わっていて、何だかキャラクター的には真逆の設定のような感じも。

フレンチ・ミステリー⑩スリーピング・マーダー03.jpg 冒頭、若い女性(サーシャ)が電気ショック療法を受けているという、原作には全く無いシーンから始まるので、何だ、こりゃ、という感じも。一方、ラロジエール警視とランピオン刑事は、冒頭から女性精神分析学者の講義を受けていて、ラロジエール警視はこの女性が気になるようで、と思ったら女性の方から逆アプローチを受けて、どっぷり情事にハマるという―。

フレンチ・ミステリー⑩スリーピング・マーダー02.jpg おい、おい、こんな女性、原作には出てこないよと思いつつ、更に原作には無い殺人事件が早々に起き、サーシャが第一容疑者に。そんなサーシャを救おうと、ホモセクシャルが定着していたはずのランピオン刑事が「女性で愛せるのは君だけだ」と奮闘、女性精神分析学者との交際でインポテンスになってしまったため生きがい喪失気味のラロジエール警視と、上司-部下関係を逆転させたロールプレイを演じつつ、現在と過去の両事件の解決にあたるという―あ~あ、何だかドタバタ喜劇みたい。

 この辺りにくると、もうかなり自由に作っているという感じで、容疑者や真犯人も原作とは別物になってしまうんじゃないかと思ったら、ちゃんと原作通り、職業・性別は違えど(弁護士が公証人になっていたりした)3人の容疑者が浮かび上がるようになっていました。

 女性精神分析学者が出てきたのは一体何だったのかと思ったら、最後、精神分析学的観点から、ラロジエール警視とランピオン刑事に真犯人に行きつく手掛かりとなるヒントを提供する役割を担うことになった(要するに、事件解決のキーパーソンとなった)ということで、初めは無茶苦茶な感じがしたけれど、最後は原作との相似形で、ばらばらだったピースがしっかりハマった印象があります。

フレンチ・ミステリー⑩スリーピング・マーダー01.jpg ということで、振り却ってみれば、まあまあ真っ当な翻案になっていたと言えるかも。ユーモアナ乃至エスプリと(かなり"お遊び"しているが)、どろっとした気味悪さが混在した、このシリーズらしい作品でした。

「クリスティのフレンチ・ミステリー(第10話)/スリーピング・マーダー」」●原題:LES PETITS MEURTRES D'AGATHA CHRISTIE/ UN MEURTRE EN SOMMEIL●制作年:2012年●制作国:フランス●本国上映:2012/2/17●監督:エリック・ウォレット●脚本:Anne Giafferi/Muriel Magellan●出演:アントワーヌ・デュレリ/マリウス・コルッチ/Jennifer Decker/Sophie Le Tellier/Patrick Descamps●日本放映:2012/09●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)

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