【1970】 ○ チャールズ・パーマー 「アガサ・クリスティー ミス・マープル(第2話)/牧師館の殺人」 (04年/英) (2006/12 NHK-BS2) ★★★☆

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第2話「牧師館の殺人」02.jpg原作に比較的忠実に作られていて、"原作と同じように"楽しめる。

牧師館の殺人dvd.jpg 牧師館の殺人 o3.jpg Marple The Murder at the Vicarage  1.jpg
アガサ・クリスティーのミス・マープル Vol.2 牧師館の殺人」(DVD)

Marple The Murder at the Vicarage  2.jpgMURDER AT THE VICARAGE title.jpg ミス・マープル(ジェラルディン・マクイーワン)の住むセント・メアリー・ミードのプロズロウ大佐(デレク・ジャコビ)は口煩く嫌味な性格で、村人達に嫌われていた。ある日、教区委員でもある大佐は、会計台帳を確かめるべく牧師館を訪ねるが、その日、彼はMarple The Murder at the Vicarage  3.jpg牧師館の書斎で遺体となって発見された。
 警察が捜査を始めたところ、プロズロウの妻アン(ジャネット・マクティア)との不倫関係にあった画家の画家ロレンス(ジェイソン・フレミング)が自首。ところが、それを知ったアンは「自分が殺した」と言い出す。だがその日、庭で周囲の人々の行動を見ていたMarple The Murder at the Vicarage  5.jpgミス・マープルの証言により、結局ロレンスとアンは無罪放免となる。逆に怪しい行動をしていたのは、レナード牧師の妻のグリゼルダ(レイチェル・スターリング)、プロズロウ家を取材しているデュフォス教授(ハーバート・ロム)とその秘書エレーヌ(エミリー・ブルーニ)、賭博に嵌っている副牧師ホーズ(マーク・ガティス)、プロズロウが密会していた女性ミセス・レスター(ジェーン・アッシャー)等々。果たして真犯人は誰か―。

牧師館の殺人 ハヤカワ文庫.jpg牧師館の殺人01.jpg ジェラルディン・マクイーワン(Geraldine McEwan)主演の英国グラナダ版で、この年に作られた第1シーズン4話の内の第2話。原作はアガサ・クリスティ(1890‐1976)の1930年に刊行された作品で(原題:The Murder at the Vicarage)、ミス・マープルの長編初登場作品。このグラナダ版の第1話「書斎の死体」の原作が1942年刊行だから、ドラマの制作順が原作の発表順と違っているけれど、この映像化シリーズの方もBBC版同様、全部1950年代ということで統一設定されているようです(この「書斎の死体」は、ミス・マープルの部屋のカレンダーから、1951年の設定であることが窺える)。

Julie Cox(ジュリー・コックス)(若き日のマープル)/マーク・ウォレン(その恋人エインズワース大尉)
Julie Cox.jpgimagesCA6NJW2B.jpg セント・メアリー・ミード村の長閑な自然やミス・マープルの住まいの庭が美しく撮られていて、原作からの改変も比較的少なく(挙動不審の教授と助手のコンビをカットしていない点では、BBC版より原作に忠実?)、こっちを第1話にもってくるべきではなかったのかな。時間に余裕があったのか、原作には無い、若き日のマープル(ジュリー・コックス)と、その恋人の妻子ある男性(マーク・ウォレン)(出征で別れ戦死して不帰の人に)が、彼女の回想シーンの中で登場します。

牧師館の殺人10.jpg ミス・マープルは、偶然、殺人事件の起きた現場付近にいたため(彼女は牧師館の隣に住んでいる)"目撃証言"をしますが、スラック警部(ステフェン・トンプキンソン)から捜査経過を聴くうちに、自分がアリバイ作りに利用されたことに気付く―(この時点までは、マープルより犯人の方がしたたか)。

Marple The Murder at the Vicarage  4.jpg 原作では、先に大佐の殺人事件があって、後からミス・マープルの当時の状況説明があったり、いろんな村人たちが登場してきますが、この映像化作品では、大佐をはじめ村の人々を先にじっくり描いて、原作では終盤にある牧師の説教や副牧師の寄付金横領疑惑も全部前の方にもってきて、更にマープルが現場付近に居合わせた状況も描いて、その後で大佐が死んでいるのが見つかるという順になっているので、観ていて「なかなか殺人事件が起きないなあ」とは思いましたが、これも一つのテレビ的な描き方として悪くないように思いました(変に解説風になっていない。原作は牧師の手記の形をとっている)。

グリゼルダ(レイチェル・スターリング)/レティス(クリスティーナ・コール
Marple The Murder at the Vicarage  6.jpgMURDER AT THE VICARAGE 2004 01.jpg プロズロウ牧師とその若妻グリゼルダは、原作ではやや刺々しい関係でしたが、この作品ではそれほどでも、と言うより、むしろ蜜月状態。彼女も画家ロレンスに肖像を描いてもらっていましたが、プロズロウの娘レティス(クリスティーナ・コール)は水着姿で絵のモデルになっていて、これも原作通り(水着姿のクリスティーナ・コールをしっかり映像化しているのはサービス?)。突然村に来た謎の女性ミセス・レスターの正体も原作と同じです。

グリゼルダ(レイチェル・スターリング)/レティス(クリスティーナ・コール
レイチェル・スターリング.jpgChristina Cole 01.jpg 登場人物も容疑者の数も相変わらず多いけれど、犯人が施した時間トリックが少しややこしいぐらいで、あとはそれほど複雑なプロットでもないし、原作を読んでいなくても、"原作と同じように"楽しめるのではないでしょうか(ミス・マープルがどんな佇まいの家に住んでいるか分かっただけでも収穫)。但し、犯人の絞首刑の映像シーンは要らなかったように思います(何だか変に重くなってしまった)。

Christina Cole
第2話「牧師館の殺人」03.jpgChristina Cole.jpg第2話「牧師館の殺人」01.jpg「アガサ・クリスティー ミス・マープル(第2話)/牧師館の殺人」●原題:MURDER AT THE VICARAGE, AGATHA CHRISTIE`S MARPLE SEASON 1●制作年:2004年●制作国:イギリス●本国放映:2004/12/19●演出:チャールズ・パーマー●製作:マシュー・リード●脚本:スティーヴン・チャーチェット●音楽:ドミニク・シャーラー●原作:アガサ・クリスティ「牧師館の殺人」●時間:95分●出演:ジェラルディン・マクイーワン/デレク・ジャコビ/ジャネット・マクティア/ジェイソン・フレミング/レイチェル・スターリング/ハーバート・ロム/エミリー・ブルーニ/マーク・ガティス/ジェーン・アッシャー/ステフェン・トンプキンソン/クリスティーナ・コール/ハーバート・ロム/マーク・ウォレン●日本放送:2006 /12/11●放送局:NHK‐BS2(評価:★★★☆)

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