【1889】 ◎ 今野 浩一郎/佐藤 博樹 『マネジメント・テキスト 人事管理入門 <第2版>』 (2009/12 日本経済新聞出版社) ★★★★☆

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初めて企業の人事管理を学ぶ人にはぴったりの本。すでに人事にいる人にも参考になる。

マネジメント・テキスト 人事管理入門.png 『マネジメント・テキスト 人事管理入門<第2版>』 (2009/12 日本経済新聞出版社)

 今野浩一郎・学習院大学教授の『正社員消滅時代の人事改革』('12年/日本経済新聞出版社)を読んで、本書を思い出し、久しぶりに通読しました。

 本書は、人事管理は経営管理の一分野であるという視点に立って書かれた、「人事管理の今を知ることができる」標準的なテキストであるとのことで、個人的にも、初めて企業の人事管理を学ぶ人にはぴったりの本と言えるのではないかと思っています。

 本書を出発点にして、より専門的なことを勉強したり、研究したりするための標準的なテキストになればということとともに、これから企業で働く学生にも、現在すでに企業で働いている人にも、人事管理の仕組みを理解するうえで役立つ教科書であって欲しいという著者らの思いから、あまり理論的なことに偏らず、もっぱら企業は何を狙って、そのような仕組みを作り、それがどのように機能しているか、という人事管理の実際とその背景を知ってもらうことを主眼として書かれています。

 「マネジメント・テキスト」シリーズの名の通りに、マネジメントの意識が全編にわたって織り込まれているとも言え、そのため、現在すでに人事部にいる人が読んでも、「人事は何をするところなのか」という原点回帰的な意味で、目を通す価値はあるかと思います。

 初版の刊行は'02年で、その後も人事をめぐる社会や経済環境は変遷を遂げているわけですが、2009年刊行の第2版では、企業の人材活用とワークライフバランス支援に新たに一章を割いたりするとともに、直近の先進企業事例を織り込むなどして、近年の人事のトレンドをより反映させた内容に追補・改定されており、その意味でも、今人事部で仕事している人が読んでも、得られるものはあるのではないかと思われます(改版期間7年はやや長いか。願わくば、もっと短いサイクルで改版して欲しい気もする)。

 同趣旨のテキストとして、今野浩一郎教授の監修による「ビジネス・キャリア検定試験 標準テキスト」(中央職業能力開発協会・編)の『人事・人材開発2級』『人事・人材開発3級』もお薦めです。
 こちらはタイトル通り、中央職業能力開発協会(JAVADA)が年2回実施している公的試験のテキストであり、この試験は同じくJAVADAが行っている「技能検定」のホワイトカラー版のようなもので、公的検定ではあるが国家検定ではないため合格しても「技能士」に類する資格が与えられるわけではありませんが、大企業で若手社員に受験させている企業も多く、学生や若手社員などで既に特定分野試験に合格していれば、就職や希望する部署への配転で有利に働くかもしれません。
 「人事・人材開発」は2級・3級とも、近々テキスト改訂が予定されているとのことで、その際にまた取り上げたいと思います。

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