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労働基準法に加え労働契約法の解説もプラス。丁寧なリニューアル。
『新訂版 労働基準法の教科書 (労政時報選書)』(2011/07 労務行政)
『実務コンメンタール 労働基準法・労働契約法』(2013/03 労務行政)
「労働法コンメンタール・労働基準法」は、厚生労働省労働省労働基準局編の最も詳しい条文の逐条解説書であり、以前から先輩の社労士などから読むようにと言われつつも、その大部さから敬遠していましたが(実はその先輩もツン読状態だったみたいだが)、「一般の人事担当者向けのダイジェスト版を」という要望に応え、2011年に労務行政研究所から『新訂版 労働基準法の教科書(労政時報選書)』が刊行されたのは有難かったです(コンメンタール原本は縦書きであるのに対し本書は横書き)。
本書は、その「"実務で使える逐条解説書"という思想を継承し」、2008年に施行された「労働契約法」の解説も新たに加えて、より現代的な視点に立って特別編纂した「普及版」とのことです。
基本的には全600ページ弱の内500ページ強は「労働基準法」の解説が占め、残り100ページ弱が「労働契約法」の解説となっていますが、これは条文数の圧倒的な差からくるもので、「労働契約法」も、決して付け足したという程度ものではなく、2012年に法改正があった部分も含め、十分に解説されているとみていいかと思います。
『新訂版 労働基準法の教科書』が「労働基準法」だけで700ページ弱あったのを、今回は、「第6章 年少者」(56条~64条)、「第6章の2 妊産婦等」(64条の2~68条)、「第7章 技能者の養成」(69条~74条)、「第10章 寄宿舎の養成」(94条~96条の3)などの各条文解説を省略していますが、確かにこの辺りは日常業務では殆ど使わないです。
また、解説を残した部分についても、より簡潔に纏められる部分は纏めるようにしていて、一方で、時代の必要を鑑みて新たに付け加えられたQ&Aなどもあり、丁寧なリニューアルと言えます。
但し、『新訂版 労働基準法の教科書』が2色刷りで4,700円(税込)だったのに対し、今回は単色で100ページ圧縮されているにも関わらず5,460円(税込)と値上がりしているのがちょっとキツイかなあと(「労働契約法」の解説が加わった分を前著にオンした感じか?)。しっかり読めば、これぐらいの値上がり分の元は十分に取れるとは思いますが...。
個人的には、暫くは『新訂版 労働基準法の教科書』との併用になりそう...。いずれせよ、労働法に携わる人の必携書には違いありません。