【1861】 ○ 石嵜 信憲 『非正規社員の法律実務 〈第2版〉』 (2012/12 中央経済社) ★★★★

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「非正規」の法的な枠組みから労務管理の実務までを実務の枠組みに沿って詳説。

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  『非正規社員の法律実務〈第2版〉

 非正規社員の法律実務に絞って、法的な枠組みから労務管理の実務までをこれだけ網羅的に解説した本は少ないため、やや値段は張るものの貴重な一冊です。

 この本、元々は『パートタイマー・期間雇用者・契約社員等の法律実務』というタイトルで'98年に刊行されたのがスタートで、その時は219ページ。それが、'01年に『パートタイマー・契約社員等の法律実務』となって235ページに('04年に第2版刊行)。'07年には『パート・派遣・業務委託等の法律実務』となって335ページに('08年に第2版刊行)。そして、'10年刊行の際に今のタイトル『非正規社員の法律実務』となり、初版が約760ページあって分厚く感じたのですが、今回は920ページと更にまた分厚くなったなあと。

 今回の第2版は、平成24年10月施行の改正労働者派遣法、平成25年4月施行の改正高年齢者雇用安定法、平成24年8月公布の改正労働契約法を織り込んだ内容となっており、何れも非正規社員に深く関係する法改正です。

 本書の特長としては、パートタイマーとの対比でフルタイマーという言葉を用いて有期雇用労働者の労務管理を解説し、更に、高年齢者、アルバイト・フリーター、契約社員(専門能力者)といった具合に実務上の雇用区分に近い形できめ細かく章立てして解説がされている点で、労働者派遣についても、その部分だけで150ページに渡って解説されています。

 業務委託についても、業務処理請負と個人業務委託に章を分けて解説しており、最後に外国労働者がくるといった構成で、あらゆる「非正規雇用」を網羅している観があります。

 敢えて言えば、(これまでもそうだが)オーソドックスにテキスト的で、法改正部分について編者の考えのようなものはさほど介在しておらず(共著ということもあるが)、むしろ実務面での制度の在り方等にそれが反映されています。

 一気に読むのはキツイかもしれませんが、傍らに置いて辞書的に使いながら少しずつ読んでいくといった感じでしょうか。ちゃんと使えば7千円の元は十分に取れる?

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