「●化学」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●物理一般」【2895】 湯川 秀樹/片山 泰久/他 『物理の世界』
レイアウト的にはそれほど「美しい」というほどでもないが、各元素の利用のされ方を知ることできる。
『世界で一番美しい元素図鑑』(25.6 x 25.6 x 3 cm)(2010/10 創元社)
どうやって"美しい"「元素図鑑」とするのかと思ったら、ナルホドね、118個の元素のそれぞれの写真を載せていて、酸素などは液体化したもので、アルゴンなどもそうですが、青く光っていて綺麗。一方、後半の重い元素は結晶化したものの写真などが載っていて鉱物図鑑を眺めるような感じ。1つの元素の写真で左1ページ、ドーンと使っているのが大胆です。
もう片面右1ページには、そうした元素が我々の日常生活等においてどのように利用され、どんなところで使われているかが、、製品や加工品をいくつの紹介する形で載っていて、へえー、こんなふうに利用され、こんな所に使われているのかと思うと、今まで全くイメージすら湧かなかった元素が急に身近に感じられたりして、こちらの面の方がむしろ関心を引きました。
左ページの写真は綺麗だけど右ページの写真の配置が雑多で、全体としては、レイアウト的にはそれほど「美しい」というほどでもなく、但し、何れもこの図鑑のために撮ったオリジナルの写真のようで(写真自体は専門のカメマンが撮っている)、そのあたりの努力と言うか執着は買いたいと思います。
原著タイトル"The Elements: A Visual Exploration of Every Known Atom in the Universe "。著者のセオドア・グレイは化学者でも教育者でもなく、一応は副業としてサイエンスライターをしているけれども、本業はプログラマーだっらとのこと。むしろ「素人」の方がこうした本作りの発想が浮かぶのかもしれないけれど、この人、ただの素人ではなく、相当な「元素オタク」という感じで、そのことは、各元素に寄せている解説が「リンは嫌われものです」とか元素をキャラクター化していることからも窺えます(勿論、分かり易さを考えての、ライターとしての工夫でもあるかと思うが)。
Theodore Gray
しかし、一昨年('10年)発売で15万部売れたというからスゴイね(カレンダーや下敷きにもなっている。下敷きは子どもの学習のために買うのか)。本書が売れた背景には、iPad版が先行販売されて、それが人気を博して事前に注目集めていたということがあるようですが(本書のiPad/iPhone版アプリは全世界で25万本、日本でも5万本売り上げたという)、携帯端末で見てイイと思った人が、この重さ1.4キログラムの「非携帯的」な本の方も購入しているとすれば、ある意味、面白い現象かも。
創元社はこの本のヒットで『世界で一番美しい花粉図鑑』『世界で一番美しい種子図鑑』と次々に刊行、一方、著者は本国で、日本でいうところの「でんじろう先生」みたいな理科実験教室で引っ張りだこのようです。