「●相対性理論・量子論」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●宇宙学」 【994】 畑中 武夫 『宇宙と星』
入門書のわりにはかなり突っ込んで解説。マンガは"流れ"で説明できて分かり良いが...。
『マンガでわかる相対性理論 (サイエンス・アイ新書)』['10年] 佐藤勝彦『「相対性理論」を楽しむ本―よくわかるアインシュタインの不思議な世界 (PHP文庫)』['98年]
特殊相対性理論に絞って解説されているため、マンガを使った入門書とはいえ、入門書のわりにはかなり突っ込んで解説されているように思いました(巷では、これまでになく分かり易い入門書との評もあって購入したが、個人的には、結構難しく思えた部分があった)。
タイトルを見ただけでは特殊相対性理論(=等速直線運動系)についてのみの解説書であって一般相対性理論(=加速度運動系)には触れられていないということが事前に分からないのは、佐藤勝彦 著『「相対性理論」を楽しむ本』('98年/PHP文庫)などもまったく同じで、まあ、入門書の読者に「特殊」とか「一般」とか言っても分かる人と分からない人がいるだろうし、「特殊」から入って「一般」に進むのが通常の習得コースなので、まあいいか。
マンガというのは、コマ割りすることで"流れ"で説明できるので、静止的な解説図が1枚だけあるという構図よりは、ダイナミックで分かり良いかも知れませんし、極力、数式を用いずに解説し、その分、図に置き換えて視覚的に理解を深めさせようという狙いと、そのための工夫は買いたいと思います。
但し、1ページに4、5コマならともかく、7コマ、8コマあって、その中で図解していたりすると、そうした箇所については、かなりごちゃごちゃした印象を受けざるを得ないようにも思いました。
サイエンス・アイ新書は、全頁フルカラーが「売り」で、「写真」系でその特質を活かしているものと「解説」系でその特質を活かしているものがありますが、本書は典型的な後者。
科学系新書の老舗「ブルーバックス」にある同分野の入門書などとは、また違った切り口の入門書のスタイルであることには違いないように思います。