【1653】 × 菊原 智明 『面接ではウソをつけ (2011/11 星海社新書) ★☆

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ジャンル的に著者の専門外。就活中の学生が、こんな経歴の人の話を聴くかなあ。

面接ではウソをつけ987.JPG面接ではウソをつけ.jpg 29歳でクビになる人、残る人.bmp 『29歳でクビになる人、残る人 (PHP新書)』['10年]
面接ではウソをつけ (星海社新書)』['11年]

  「一流大生」「コミュニケーション能力抜群」「凄い経験の持ち主」といった"就活強者"ではなく、「二流大生」「内気・ねくら・コミュ力ゼロ」「サークルとアルバイト以外、何もしてこなかった」といった"就活弱者"が、面接をクリアし、内定を勝ち取るにはどうしたらよいかを伝えたかったというのが本書の趣旨であるようです。

 著者は「営業コンサルタント」とのことで、以前、この人の『29歳でクビになる人、残る人』('10年/PHP新書)を読みましたが、個人的にはあまり得るものは無かった...。最近は、『人は上司になるとバカになる』('11年8月/光文社新書)、『誰も教えてくれないセールスの教科書』('11年9月/ぱる出版)、『トップ営業マンになる!身近なツール65の活用術』('11年9月/実務教育出版)など、かなりのペースで本を書いていますが、この本に関しては、ジャンル的にはやはり著者の"専門"外ではなかったかと...。

 著者自身もそう思っていたらしいですが、編集者から「営業コンサルタントだからこそ語れる面接の本を作りたい」と言われ、また企画を進めるうちに「営業」と「面接」には共通点が多くあることに気付いて、こうした本を著したとのことですが、結局、言っていることは、自分をいかによく見せるか、相手にまた会ってみたいと思わせるかのコツを説いたものであり、ほとんど「営業本」の世界だなあと。

 別に「面接でウソをつけ」と言っているわけではなく、「上手に演技せよ」と言っているわけで、これではインパクトが弱いと思ったのか、編集者がこういうキャッチーなタイトルにしたのだろうなあ。

 それ合わせて前書きでも「ウソのつき方をお教えします」的なことを言ってはいますが、本篇ではそうした言い方をしている箇所はどこにもなく、むしろ、「心で思っていることは簡単に見透かされる」とあり、これが実際のところではないでしょうか(その意味でマトモだが、タイトルずれしているとも言える)。

 具体的な事例が全てセールストークであり、しかも、著者自身が経験した住宅販売会社の営業マンのそれであって、自分の体験を基に書いているのは正直だけれど、それを強引に採用面接の場面に敷衍化したのは、やはり無理があったように思います。

 著者自身、住宅販売会社に入社して7年間は泣かず飛ばずだったそうですが、そもそも住宅販売や訪問販売の業界というのは、とりあえず許す限りヒトを採用して、後は辞める者は辞めるし、残る者は続けられる範囲で残る―といった業界ではないかと。

 就活中の学生が、こんな経歴の人の話を聴くかなあ。

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