【1643】 ○ 大沢 正子 『Q&Aでわかる育児休業・介護休業の実務 (2010/09 日本法令) ★★★★

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約700ページに423のQ&A。類書に無いボリュームと詳しさ。

Q&Aでわかる育児休業・介護休業の実務.jpg 『Q&Aでわかる育児休業・介護休業の実務』(2010/09 日本法令)

 育児休業や介護休業等に関する制度の導入と、実際の運用を巡って生じる問題点について、どのように法ルールを理解し、どのように対応することが適切なのかを、実務の観点からQ&A形式にまとめたもので、約700ページに423ものQ&Aがあり、類書に無いボリュームと詳しさです。

 「パパ・ママ育休プラス」「パパ休暇」...といった法改正部分も分かり易く解説されていますが、それでもまだ分かりにくいなあと。法改正後の通達をみると100ページ以上もあり(まず普通は読む気がしないのでは)、こうした解説書なしには、普通の人には理解できないのではないかとも思ったりします。

 「パパ・ママ育休プラス」を子が1歳2カ月になるまでではなく、1歳6カ月になるまでとすれば、保育園に入所できないなどで育児休暇を延長する場合の期間と同じになって、もう少し分かり易くなったのではないかと(この2ヵ月というのは「産後8週間」相当。つまり、女性が正味1年間、育児休業が取得できるようになったということなのだろうが、それも、父親が育休を取った場合のこと)。

 例えば、同じ世帯で同時に「パパ・ママ育休プラス(1歳2カ月)」と「1歳6カ月休暇」の恩恵を享受することはできない、といった法ルールの前提となっているコンセプトを先に説明してくれると、分かり易いのだけどなあ。

 「1歳2カ月」の「2カ月」というのは、産後休暇の期間(8週間)を勘案してのことだと思いますが、産後休暇の期間も育児休業期間に含まれるわけだから、「親1人子1人につき通算1年」が限度という規定を変えない限り、あまり意味がないのではないか―まあ、あまり法律にケチばかりつけていても仕方がないですが...。

 本書に関して強いて言えば、図説が少ないのがやや難かなあと。厚労省の通達やリーフレットで使われた図以外は、Q&Aに関する独自の図説が殆ど無く、全部、文章記述のみで解説しているような感じ。

 それでも、文章自体はたいへん分かり易いし、制度づくりやその運用、特例的な状況への対応など、実務に踏み込んでの解説がなされて、法律や制度にまつわる大方の疑問は、それに相当するQ&Aに行きつくことができるのではないかと思います。

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