【1603】 ◎ 杉山 秀文 『就業規則作成&見直しマニュアル 【改訂版】 (2010/07 すばる舎) ★★★★★

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就業規則の条文例が豊富。労務の現場で生じる諸問題に言及しつつ、分かりやすく解説されている。

就業規則作成&見直しマニュアル 改訂版.jpg  『就業規則作成&見直しマニュアル 【改訂版】』(2010/07 すばる舎)

 本書では、就業規則には、会社のルールブックとしての役割と、会社のHRM戦略の基盤ツールとして役割があるとし、こうした役割を果たすために就業規則が備えておくべき機能として、①労務コンプライアンスを確立させる機能、②労務リスクの管理を行う機能、③従業員に自社の人事制度を説明し、理解させる機能の3つを挙げています。

 このことを前提に、とりわけ労務トラブルを未然に防ぐという観点から、就業規則の作成と見直しの手順、採用・入社、退職・解雇、企業内秩序の維持・懲戒、人事・教育、労働条件、休日・休暇、賃金等について就業規則にどう定めるべきかが解説されています。

 安全配慮義務・母性保護、ワーク・ライフ・バランス(育児介護休業、在宅勤務制度等)、非正社員・パートタイマーについても言及されているなど、カバーしている範囲は広く、また、その都度、関連する条文例や判例解説が織り込まれていて、巻末にはモデル就業規則も付されています(さらに、版元のホームページから、各種別規程のサンプルがダウンロードできるようになっている)。

 これだけ詳しい内容でありながらも、平易な言葉を用いて分かりやすい文章で書かれているため、実務経験者の復習用、条文作成の参照用としてだけでなく、経営者や初学者にとっても参考書的に使えるものとなっています。

 平成21年4月の刊行の初版を、平成22年4月の労働基準法改正、平成22年6月の育児・介護休業法改正に合わせてアップデートした1冊で、労務の現場で生じる諸問題に言及しながら解説されているという点でも、お奨めできる1冊です。

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