【1600】 ◎ 藤原 久嗣 『ベーシック就業管理 [全訂版] ―労働時間・休日・休暇』 (2010/01 生産性出版) ★★★★★

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社会保険労務士、弁護士向け。実務担当者が「座右の書」とするに充分なレベル。

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ベーシック就業管理[全訂版] 労働時間・休日・休暇』(2010/01 生産性出版)

 同著者の著書『ベーシック就業管理[改訂版]』('99年/生産性出版)の11年ぶりの全面改訂版で、序章の「就業管理と就業規則」、第1章の「労働時間の基礎知識」から第7章「育児休業と介護休業をめぐる実務」まで、就業管理の根幹を成す「労働時間」と「休日・休暇」を中心に、日常の実務の現場で生起する諸問題を解決するための基準が網羅されています。

 社会保険労務士、弁護士、企業の実務担当者を利用層として意識したとのことで、労働時間、休日・休暇に関連する法令や行政通達、重要判例の殆どが、解説文の中に実務的観点から織り込まれているため、実務に供するばかりでなく、勉強会などのテキストとしても使えるものになっています。

 とりわけ特徴的なのは、みなし労働時間制について1章を割き、3種類のみなし労働時間制(事業場外労働制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制)を詳説している点と、いわゆる管理監督者の取扱いについて、これも新たに1章を割いて、「日本マクドナルド事件」の判例なども踏まえての突っ込んだ解説がなされている点です。

 平成22年改正労働基準法(月60時間を超える法定時間外労働の割増賃金率の50%以上への引き上げや時間単位年休取得の容認)、改正育児介護休業法の実務解説(代替休暇、パパ・ママ育休プラスなど)も詳しくなされていて、特別条項付時間外労働協定や各種変形労働時間制の実務と運用についても、わかりやすく解説されています。

 著者が前書きで示唆しているように、教科書的に一度はじめから通読しておいて、更に、実務上疑問や問題が生じた際に、辞書的に該当箇所を開いて使うという使い方をお勧めしたく、就業管理の実務担当者が「座右の書」とするに充分な、充実した、信頼度の高い内容と言えるかと思います。

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