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現在の雇用が直面している問題について判例状況を概観できる。
村中 孝史/荒木 尚志 『別冊ジュリスト No.197 労働判例百選 第8版』/野川 忍 『労働判例インデックス』[第2版]
『労働判例百選[第8版]』('09年10月/有斐閣)は、昭和33年から平成20年6月までの主要な労働判例を「120件」掲載したもので、各件見開きで、「事実の概要」「判決趣旨」「解説」という構成になっており、248ページで2,600円。
'02年以来7年ぶりの改訂ですが、第7版が133件であったのと比べやや絞り込んだ模様で、新規判例11件、判例差し替え8件、上級審または下級審に差し替え3件、収録中止判例27件となっています。
新規判例は、最高裁の新判例に関するもの、労働者派遣、年俸制、会社分割など最近重要視されているものを取り上げ、現在の雇用が直面している問題について判例状況を概観できるようにしたとのことで、具体的には、「泰進交通事件(労働組合の労働者供給事業)」、「伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件(労働者派遣)」、「フジ興産事件(就業規則の効力と周知)」、「日本システム開発研究所事件(年俸制における年俸額決定)」、「神代学園ミューズ音楽院事件(労働時間の適用除外)」、「東朋学園事件(産前産後休業と出勤率算定)」、「ネスレ日本事件(長期間経過後の懲戒処分)」、「トナミ運輸事件(内部告発)」、「第一交通産業(佐野第一交通)事件(親会社による子会社の解散と労働関係)」、「日本アイ・ビー・エム(会社分割)事件(会社分割と労働関係)」、「東芝労働組合小向支部・東芝事件(脱退の自由)」の8件であり、こうして見ると、新設された公益通報者保護法や労働契約法、改正された均等法などへの意識も窺えます。
『労働判例インデックス[第2版]』('10年10月/商事法務)は、初版('09年4月)が『判例百選[第8版]』より半年早く刊行されたもので、多くの法律家によって書かれている『判例百選』とは異なり単独執筆です。
初版では、昭和27年から平成20年6月までの主要な労働判例を「160件」掲載しており、それが第2版では「168件」に増えていますが、これも改訂ごとに増えて行くのかなあ。
同じく各件見開きで、「概要」「事実関係」「判決趣旨」「本判決の位置づけ・射程範囲」「解説」という構成になっており、社版が330ページで2,730円だったのが、第2版では353ページになっていますが、値段は変わらず!
必要に応じて図解があるのが分かり易く(文字ばかりの中に図があるとほっとする?)、最後に「さらに理解を深める」とあって、その判例に関係する資料等が掲げてあり、その中に『判例百選』もありますが、当然のことながら、初版で参照しているのは「第7版」までだったのが、今回の改定で「第8版」まで参照するようになっています(『判例百選』にも「参考資料」が末尾にあるが、参照しているのは「ジュリスト」か過去の『判例百選』が殆ど)。
見易さで言うと『インデックス』の方が見易いけれど、これの初版を先に買った人は、『判例百選』の8版の方が少し気になったはず。しかも、その後、1年半で第2版が出て...。
何れも手元に置いておきたい本・冊子ですが、判例本は買い時が難しい?
『労働判例インデックス』...【2014年・第3版】