【1596】 ◎ 大津 章敬/宮武 貴美 『日本一わかりやすい! 人事労務管理相談室 (2009/08 日本法令) ★★★★☆

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顧問先との会話形式で法令と実務の橋渡し。相手に「理解させる」手順がわかる。

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日本一わかりやすい!人事労務管理相談室』(2009/08 日本法令)

 名古屋の「名南経営」のブログの管理者でもある社会保険労務士による本で、前著『日本一わかりやすい退職金・適年制度改革実践マニュアル』('08年/日本法令、『中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル』('05年)の改訂版)は、税制適格年金の「中小企業退職金共済」(中退共)への移行までの道筋を、企業側とコンサルトントとの会話形式で解説していて、たいへん分かり易いものでした。

 今回は、採用、退職、労働時間、休日・休暇、懲戒、解雇などの企業内で日常または非常時に発生する労務管理上の問題について、それぞれに重要事項をピックアップし、前著同様に、コンサルタントが中小企業の経営者の相談を受け、総務部長、総務担当者を交えて討議し、適正な判断や処置を示すという形になっていて、読み物を読むようにすらすら読め、それでいて、実務に沿った形で重要ポイントはしっかり抑えているなあという感じ。

 社会保険労務士など労働法の専門家であれば、本書に書かれていることは、本書を読む前から知っていなければならないことばかりだと思いますが、コンサルティングという観点からみると、労働関係諸法令と実務の間をどう繋ぐか、また過去の判例をどのような時に参照するか、更には、(これが本書の最大のメリットなのだが)顧問先にどのような手順でどこにポイントを置いて話せば、先方の充分な理解を得ることが出来るかということが、手に取るように分かるのがいいです。

 時節柄、雇用調整の進め方といった話も出てきますが(いつものこのシリーズの顧問先である印刷会社の社長のところへ、自動車部品メーカーの社長が相談に来たという設定になっている)、愛知は自動車関連産業の雇用情勢が厳しいからシズル感があるなあと思いつつも、"大熊社労士"のアドバイスは、雇用調整のステップの手順をしっかり踏まえたものになっていると思いました。

 平成21年8月の刊行ですが、平成22年4月施行の改正労働基準法にも対応していて、メンタルヘルス不全で欠勤を繰り返す社員への対応問題など、トピカルなテーマも扱っています。
 新任の人事部員などにも、読ませ易い本ではないかと思います。

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