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6年ぶりの改訂版。初版以降の裁判例を織り込んでの解説。
『詳細!最新の法令・判例に基づく「解雇ルール」のすべて』(2009/08 日本法令)
著者は、'09年の日本経済新聞の「企業法務・弁護士アンケート調査」で1位となった安西愈弁護士の事務所に所属する弁護士で、本書は'03年刊行の『詳細!改正労基法「解雇ルール」のすべて』の6年ぶりの改訂版。
「解雇ルール」に関係するもので、前回からの法改正としては、労働契約法における解雇規制の明文化などがあります。
3部構成の第1部では、そうした労働法の初版以降の改正の背景及び内容を紹介すると共に実務への影響を検討し、第2部では、これまでの裁判例を整理しながら、解雇に関わる諸問題について解決の手掛かりを示し、第3部では、解雇紛争を解決するための諸手続きを解説しています(構成自体は旧版と同じ)。
実務上の読みどころは、第2部でしょうか。どのような解雇が有効となり、或いは無効になるかが、初版以降の裁判例も含めて紹介しつつ解説されています。解雇全般について概説したうえで、「通常の普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」の3分類に沿って、直近のものも含めた裁判例をもとに、それぞれを詳説していく形をとっています。
解説の文中では裁判例が比較的長文で引用されていますが、これは読者の理解をより深めるためであって、判例タイトルが太字斜字体になっているので、それほど読むのが苦ではありません。
判例の解釈もシャープで、著者なりの考え方が示されている箇所もあり、最後に本文でとり上げた300以上の判例の索引が付いているのも丁寧だと思います。
労基法改正(労働契約法)により解雇権濫用の法理が明定されたわけですが、それは「合理性」という抽象的な概念に拠るものでしかありません。
結局のところ、実務において、どのような解雇が有効となり、どのような解雇が無効となるか、要するに「解雇ルール」に適っているかどうかは、判例を当たるしかないというのが現実だと思います。そうした意味では、理に適った構成になっていると思います。
いつもそばに置いておきたい1冊。旧版を持っていますが、判例が更新されているということもあり、改訂版も購入しました。