【1586】 × 菊原 智明 『29歳でクビになる人、残る人 (2010/09 PHP新書) ★☆

「●リストラクチャリング」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1587】 砂山 擴三郎 『仕事のできるあなたが、なぜリストラされるのか
「●PHP新書」の インデックッスへ

あまりに分り易すぎる事例と、"程度問題"的な事例ばかり。

29歳でクビになる人、残る人.bmp 『29歳でクビになる人、残る人 (PHP新書)』['10年]

 「リストラされるのは40代、50代の社員だけでなく、いまや20代の若い社員も例外ではない」として、《仕事はできてもクビになる社員》の例をあげていますが、かなり性格的に問題があり、対人関係上の問題がいつ発生してもおかしくない、或いは、その人がいることで周囲が多大の迷惑をこうむりそうな、そうした例ばかりのように思えました。

 著者は営業コンサルタントとのことですが、営業の場合、性格等も能力のうちであり、こうした類の人達が、「仕事ができる」とそもそも言えるのか、違和感を覚えざるを得ませんでした。

 一方で、《仕事ができなくても生き残る社員》として、「クレーム処理の天才」とか「気難しい人と付き合うのがうまい」とか挙げていますが、これって、「仕事ができる」ということでないのでしょうか (営業的見地からすれば尚更に)。

 後半の《こんな人は1年以内にクビになる》、《まだクビにならずに済む社員》というのは、それぞれにまだ改善の余地があるということのようで、要するに、どれも程度問題ということでしょう。

 性格に根付いた資質はそう簡単には変わるものではなく、だから「29歳」で、会社に残すべき必要社員か、いずれ会社を去ってもらうべき不要社員かは見えてしまうということではないかと思いますが、そうなると、冒頭の「リストラ」ということはあまり関係ないようにも思います。

 むしろ、リストラ(整理解雇)における「人選の合理性」の判定に際しては、客観的にみて合理的な基準が求められ、性格や資質のみを理由としてこうした人達を指名解雇したりすると、係争になった際に、会社側の裁量権の逸脱(解雇権の濫用)とみなされることも、過去の判例に多く見受けられるように思います。

 すらすら読めてしまいますが、それほど得るものは無かった本でした。

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1