【1578】 ○ 溝上 憲文 『会社を利用してプロフェッショナルになる (2007/11 光文社ペーパーバックスBusiness) ★★★☆

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人材育成・社員教育に力を注ぐ会社の施策を紹介。大企業・有名企業ばかりなのが少し気になる。

会社を利用してプロフェッショナルになる.jpg会社を利用してプロフェッショナルになる Excellent System of Human Resources Development (光文社ペーパーバックス)

 人事専門誌などに、企業の人事制度や施策等を紹介する記事を書かせたら、その分野では"第一人者"であろうと思われる著者ですが、光文社ペーパーバックスの前著『隣りの成果主義』('04年)は、殆ど図表等を用いずに賃金制度などの紹介をしていて、プロでも時には内容を把握するのが困難な他社の人事制度を、字面だけで一般読者に理解させるのは難しいように思え、結果として、著者の持ち味が活かされていなかったように思います。

 それに比べると、各社の人材育成・社員教育施策を紹介した本書は、テーマ的にも文章記述だけでカバー出来る部分が多い上に、今度は2色刷りになって図表(概念図)も多く取り入れられているため、前著よりは解りよいものになっているかと思います。

 前半のトヨタや東レ、日本ユニシスなどの超優良企業9社の事例紹介は、ほんのサワリだけで、また数だけ詰め込みすぎたかと思われましたが、後半の、"3年で「プロの専門職」に育てる会社"としての4社(ゴールドマンサックス、アクセンチュア、キーエンス、資生堂)と、"10年でプロのマネジメントに育てる会社"としての3社(ユニクロ、伊藤忠商事、住友商事)は、そうした分類の仕方も興味深く、また、著者らしい取材力が活かされているように思いました。

 これらの事例紹介の幾つかは、'06年から'07年にかけての雑誌「プレジデント」の連載がベースになっているようで、道理でそれぞれ突っ込んで書かれているというか、それなりに時間をかけて取材したものなのだなあと(ここでは1つ1つについて述べないが、個人的には参考になった)。

 但し、本書自体は、タイトルからも窺えるように、就職・転職を意識している一般のビジネスパーソンに対して、自分をプロフェッショナルにしてくれる会社を選びなさいと呼びかけるスタイルをとっているため、冒頭で、「知名度や規模」で会社選びをしてはならないとしながら、紹介されているのがそれなりの大企業・有名企業ばかりである(且つ、人材育成制度も充実しているのだが)という結果になっている、この辺りの事例の選択方法がが、ちょっとどうなのかなと。

 「プレジデント」という雑誌の性格や。「人材育成制度」というテーマからするとこうならざるを得ないのだろうけれども、本書を読むと、やはりプロ人材になりたければ、世に言う"一流企業"に行くにこしたことはないととる人も多いのではないでしょうか。

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