【1516】 ○ 小澤 さとる 『サブマリン707 (全6巻)』 (1967/04 秋田書店・サンデーコミックス) ★★★★

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懐かしい「U結社編」。海中戦の3次元感覚を、漫画の2次元の世界の中で上手く描いている。

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サブマリン707 1 (サンデーコミックス)』['67年]/『サブマリン707 1 完全復刻版 (ラポートコミックス)』['93年]/「サブマリン707R/MISSION:01 [DVD]」['03年]

 太平洋に出没する謎の怪潜を追って出撃する海上自衛隊の潜水艦「707号」は、途中で貨客船の生き残りの3少年を収容する―(「U結社編」)。

サブマリン707 2.jpg 「週刊少年サンデー」に'63(昭和38)年から'65年(昭和40)年まで連載された小澤さとる(1936-)氏による海洋冒険漫画で、当時の男子小学生はこぞってこの作品に没頭し、関連するプラモデル商品などを買い求め、ゴム動力の模型潜水艦を学校の中庭の池などに浮かべて遊んだものでした(ウチの学校だけか?)。

 '77(昭和52)年刊行の「秋田漫画文庫」(全7巻)で再読。いつも誰かしら強敵と海中で戦っていたイメージがありますが、「U結社編」(全51回)、「謎のムウ潜団編」(全42回)、「ジェット海流編」(全8回)、「アポロノーム編」(全20回)、「盗まれた潜水艦編」(全1回)という長短織り交ぜたシリーズ構成だったのだなあと。

「月刊別冊少年サンデー」(怪潜U結社団)

 読み返して最も面白かった(ノスタルジーを掻き立てられた)のは最初の「U結社編」で、敵役のウルフという元ドイツ第三帝国の中尉がなかなか渋く、また、作品中に「ホーミング魚雷」とか「ソナー」とか「フリゲート」といった用語解説が図入りで解説されており、ストーリー展開も本格的な戦記ものの雰囲気を醸しています。

 この時点での「707号」は旧式のオンボロ艦なのですが、潜水艦同士の海中での戦闘というのは、戦闘機同士の空中戦と同じく3次元の世界の戦いであり(この3次元感覚を、漫画という2次元の世界の中で上手く描いている)、707号の艦長・速水とかつての戦友で今は敵であるウルフとの戦いは、「兵力戦」というより「知力戦」になっていて、オンボロ艦が知力で強敵を負かすところがいいです。

 これが、「707号」が新式となり、救出された少年たちが少年自衛官として活躍するようになる「謎のムウ潜団編」以降になると、一気に冒険譚風となり、「謎のムウ潜団編」などには、古代ムウ文明の生き残りの人々が住む海底帝国とかが出てきて、やや子供っぽくなりますが、子供の頃は、この辺りも夢中になって読んだのかもしれません(現時点での星4つの評価は「U結社編」に対して)。

 '67(昭和42)年に秋田書店の「サンデーコミックス」(全6巻)として刊行された際に、すでに雑誌連載時のものから改変が加えられていたようで(その前の連載中の'64年に第1巻が刊行された東邦図書版もあるが絶版で入手困難)、'85(昭和60)年の「秋田コミックスセレクト」での再単行本化も同じ内容、それが、'93(平成5)年にラポートから雑誌連載の「完全復刻版」(全6巻)が出されたということで、やはりカルトなファンがいるのだなあという感じがします。

 '03(平成15)年に「サブマリン707R(Revolution) 」としてアニメ化(2度目)もされていますが(707号の船体が何だか「宇宙戦艦ヤマト」っぽくなっている)、今のようなCG全盛の時代ならば、実写版でも可能ではないかと(アニメにもCGが使われている)。但し、そうなればそうなったで、内容的はやはり大幅に改変されてしまうのだろうなあ、女性とかが登場したりして(原作では"登場人物"と呼べるレベルでの女性は一切登場しない)。

【1967年単行本化[秋田書店「サンデーコミックス(全6巻)」]/1977年文庫化[秋田漫画文庫(全7巻)]/1985年再単行本化[「秋田コミックスセレクト」]/1993年[ラポート「完全復刻版」(全6巻)]】

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