【1457】 ○ アーサー・コナン・ドイル (鮎川信夫:訳) 『シャーロック・ホームズ大全 (1986/09 講談社) ★★★☆ ( ○ Arthur Conan Doyle 『Original Illustrated Sherlock Holmes (1991/08 Castle) ★★★☆)

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鮎川版・英語版ともに、原著からのイラストが豊富(各約200点・365点)。2冊並べて読む?

ホームズ大全2.JPG ホームズ大全.JPG Original Illustrated Sherlock Holmes.jpg  鮎川信夫.jpg 鮎川信夫(詩人・翻訳家、1920 - 1986/享年66)『シャーロック・ホームズ大全』『Original Illustrated Sherlock Holmes

『シャーロック・ホームズ大全』.jpg かつて講談社文庫に収められていた鮎川信夫(1920 - 1986)訳のシャーロック・ホームズ・シリーズの復刻版で(ソフトカバー、1986年9月刊行)、「大全」とありますが、ホームズ・シリーズの短編集5冊、長編4冊、計60作品の内、第5短編集『シャーロック・ホームズの事件簿』12編と、最後の長編『恐怖の谷』の13作品は未収録です。

 「大全」と称しながら未収録作品があるのは、訳者の鮎川信夫氏がホームズ・シリーズの全作品の翻訳を目指しながらも途中で逝去したためであるとの話もありますが(実際に氏が亡くなったのは'86年10月17日、甥の家で甥の家族とスーパーマリオブラザーズに興じている最中に脳出血で倒れ、その日に亡くなった。本書刊行の翌月である)、シリーズ完訳でないとは言え、『シャーロック・ホームズの冒険』『シャーロック・ホームズの回想』『シャーロック・ホームズの帰還』『シャーロック・ホームズの最後の挨拶』の4短編集、『緋色の研究』『四つの署名』『バスカビル家の犬』の3長編を1冊で読めるのは有難いことです。

 イラスト(挿絵)が初出時の原著からふんだんにとりこまれているのも魅力で(2段組み約600ページの中に約200点のイラストがある)、難点は、活字が小さくなったことと、本が重くなってしまったことか。字を大きくすれば、ますますページ数が増えて本は重くなるし(まあ、最初から携帯用としては想定されていないわけだが)、これは仕方がないか。

Original Illustrated Sherlock Holmes .jpgOriginal Illustrated Sherlock Holmes2.jpg 同じようなタイプで、1991年に米国で刊行された英語版のハードカバー『Original Illustrated Sherlock Holmes』(Castle; Facsimile edition版)も手元にあり、こちらは、『シャーロック・ホームズの冒険』『シャーロック・ホームズの回想』『バスカビル家の犬』『シャーロック・ホームズの帰還』を所収し、イラストは同じく原著から365点も拾っています。

 英語版は日本の鮎川版に比べ、短編集の所収数は4分の3、長編の所収数は3分の1、ドイル 全作品でみれば、鮎川版は全体の9分の7を所数、英語版は全体の9分の4を所収していることになりますが、英語版の方はこれで636ページ超ですから、鮎川版がいかにコンパクトに、と言うか"ぎちぎちに"詰め込んだものであるかがわかります。

 英語版の方は、秋の夜長などに、英語の勉強のため読むにはいいかもしれません。英語版にある作品は、鮎川版でカバーされているため、不確かなところがあれば、鮎川版で確認できます。

 個人的には一番最初に読んだ『シャーロック・ホームズの冒険』が一番面白いと思いますが、永らく再読していない...ちょうど2010年に深町眞理子氏の新訳が創元推理文庫から出たので、そちらで読むかもしれません。こちらも、従来の他の文庫版のホームズ・シリーズに比べるとイラストは比較的豊富だし、別にでかい本を2冊机の上に並べなくとも、英語版と文庫の付き合わせで読んでも構わないわけか。

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