【1375】 ○ ジェフリー・アーチャー (永井 淳:訳) 『百万ドルをとり返せ! (1977/08 新潮文庫) ★★★★ (○ クライブ・ドナー 「100万ドルをとり返せ!」 (90年/英) (1991/09 ビクターエンタテインメント【VHS】) ★★★☆)

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1ペニーの過不足なく、本人に気づかれずにという、仕返しの美意識がいい。

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百万ドルをとり返せ! (新潮文庫)』/"Not a Penny More, Not a Penny Less"/「NOT A PENNY MORE NOT A PENNY LESS」VHS

 1977(昭和42)年度の第1回の「週刊文春ミステリー ベスト10」(国内部門・海外部門共通)第3位作品。

 証券詐欺を行うためだけに設立された架空の石油会社の株投資話に騙され、合わせて100万ドルの損害を被ったスティーヴン、エイドリアン、ジャン=ピエール、ジェームズの4人は、オクスフォード大学の数学教授であるスティーヴンの発案で、この偽投資話の黒幕である大物詐欺師メトカーフに罠を仕掛けて、彼からきっちり100万ドルを取り戻す作戦を練る―。

 1976年に発表されたジェフリー・アーチャーの処女作で、国会議員だった自分自身が北海油田の幽霊会社に100万ドルを投資して全財産を失い、政界を退かざるを得なかった経験が執筆動機になっており、彼はこの作品のヒットにより借金を完済して'85年に政界に復帰しますが、翌年にはスキャンダルで辞任するなど、その後もこの人の人生はジェットコースターのように浮沈が激しく、ただ、どんな逆境からも、その逆境を糧にして(直裁に言えば「ネタ」にして)這い上がってくるというのはスゴく、転んでもタダでは起きないアーチャー氏といったところ。

 本作は所謂コン・ゲーム小説ですが、自身の経験がベースになっているためか彼の作品の中でもとりわけ面白く、また「1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく」(原題は"Not a penny more, not a penny less")という合言葉を実践し、更にはメトカーフ自身が自分が騙されたことに気づかないようにするなど、仕返しするにも美意識があっていいです。

 画商のジャン=ピエールは、印象派の絵画に目が無いメトカーフにルノアールの贋作を買わせ(名画の贋作のモチーフは'05年発表の『ゴッホは欺く』でも使われている)、医師のエイドリアンは、偽薬を使ってメトカーフに多額の医療費を払わせ、スティーヴンは、オックスフォードの偽名誉学位を与えて多額の匿名寄付をせしめるが、貴族のジェームズだけは、特殊技能もアイデアも無く、そこで恋人のアンにも協力を仰ぐ―。

 それぞれに切れ者という感じですが、その中にジェームズという凡才が混じっていて、彼が皆の作戦をフイにしてしまうのではないかと読者の気を揉ませるところが旨く、アンのアイデアによる作戦の結末も鮮やか。自分がアーチャー作品を読み進むきかっけとなった作品ですが、ただ、ジェームズ-アン-メトカーフの関係は、今思えばやや御都合主義かなあと。

音楽:ミッシェル・ルグラン
100万ドルを取り返せ! TV映画.jpg '90年に英国BBCでドラマ版が制作され、'91年に日本でビデオ発売(邦題「100万ドルをとり返せ!」)、'92年にNHK教育テレビで放映され、最近でもCS放送などで放送されることがあります。自分はビデオで観ましたが、原作の各場面をあまり省かずに忠実に作られていて、その上ジェームズとアンのラブ・ストーリーを膨らませたりしているため、結果として3時間超の長尺となり、その分だけ原作のテンポの良さ、本Not a Penny More, Not a Penny Less (1990).jpg来の面白味がやや減じられたような気もしました。

Not a Penny More, Not a Penny Less (1990)

100万ドルをとり返せ1.jpg「100万ドルをとり返せ!」●原題:NOT A PENNY MORE,NOT A PENNY LESS●制作年:1990年●制作国:イギリス●監督:クライブ・ドナー●製作:ジャクリーン・デービス●脚本:シャーマン・イェレン●音楽:ミッシェル・ルグラン●時間:186分●原作:ジェフリー・アーチャー「百万ドルをとり返せ!」●出演:エド・ベグリー・ジュニア/エドワード・アスナー/ブライアン・プロザーロ/フランソワ・エリク・ジェンドロン/ニコラス・ジョーンズ/マリアン・ダボ/ジェニー・アガッター●日本公開:1991/09●配給:ビクターエンタテインメント(VHS)(評価:★★★☆)100万ドルをとり返せ5.jpg100万ドルをとり返せ6.jpg100万ドルをとり返せ3.jpg100万ドルをとり返せ2.jpg

       



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和田泰明

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