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概ねベーシック。誤用は正す一方で、「テキトーである」ことが適切であることもあると。
『適当な日本語 (アスキー新書 76)』 ['08年]
全3章の構成で、第1章は「適切な日本語相談」は、「とどのつまり」の「とど」とは何かとか、「汚名挽回」の誤りとか、「気のおけない人」の誤用例とか、かなりベーシックな感じですが、ファミレスなどでの「こちらコーヒーになります」など使われ方に対しては、「優しく寛容に聞き流してあげましょう」とのことで、こうした"いい加減さ"を許容する姿勢が、本書のタイトルに繋がっているようです(本来的な正しさよりも、その場において適切であればいいのだと)。
第2章の「今こそ使いたい懐かしい言葉」では、「おしたじ」とか「シャボン」など、あまりマニアックにならな程度のものが解説されていますが、「隔靴掻痒」とか「眉目秀麗」も"懐かしい言葉"になるのかなあ(「手練れ」とか「お目もじ」とか「始末がいい」とかまでいくと、時代劇の言葉になるような気がするが)。
第3章の「パソコン&ケータイ時代の漢字選び」は、「アスキー・ドットPC」の連載がベースに加筆・修正して全回分を収録したもので、例題に対してPCの漢字変換候補からそれぞれの意味合いの違いを解説し、どれが適切かを選ぶものですが、なかなか面白い企画で、読みでもそれなりにありました。
例題そのものは、「オリンピックの代表選手を会議にはかる」の「はかる」は「計る」「測る」「図る」「量る」「諮る」「謀る」のどれかといったもので、それほど難しくないですが(と言いつつ、自分が誤用していたものもあったが)、それぞれのニュアンスの違いが明解に示されていて、例えば、「勧める」と「薦める」の違いについて、本来的な意味を解説し(「薦」には「神に供えてすすめる」という意味があるとは知らなかった)、その上で、「勧めるのは行為、薦めるのは具体的なモノやヒト」だと思えばいいとのことで、実に解り易い解説です。
通してみれば、やはり概ねベーシックであるということになり、「新たな知識を得る」と言うより「曖昧な部分の再確認」といった感じでしょうか。
通勤電車の中でサラッと読めてしまう本です。