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はっと息を呑むような作品が目白押し。ナショジオ『ザ・フォトグラフス』の普及版であると同時に復刻版。
『ナショナル ジオグラフィック 傑作写真集 地球の瞬間 (ナショナルジオグラフィック傑作写真集)』['09年] 『ザ・フォトグラフス―ナショナルジオグラフィック』(30 x 27.2 x 2.8 cm)['95年]
サブタイトル通り、「ナショナルジオグラフィック(National Geographic)」の傑作写真約200点をまとめた写真集で、'95年刊行の大判写真集『ザ・フォトグラフス-ナショナルジオグラフィック』(日経BP出版センター)のミニ版(普及版)です。
「ナショナルジオグラフィック」に掲載された、世界中のカメラマンが1世紀以上に渡って撮った写真が収められており、但し、『ザ・フォトグラフス』の実質的な再版であるため'95年以降の写真はなく(裏表紙にある表紙のアフガン難民の少女の17年後の写真を除いて)、70年代から90年代初頭にかけて撮影されたカラー写真が大部分を占めます。
とは言え、膨大な点数の写真の中から傑作を選りすぐったというだけあって、自然を撮ったもの、人物を撮ったものの何れも、はっと息を呑むような作品が目白押しです。
世界各地に生きる様々な国籍や人種の人々、戦争や飢餓などに苦しめられる人々を撮ったものから、海中に沈むタイタニック号や飛行機が墜落した決定的瞬間を捉えた写真まで様々ですが、やはり、自然と生き物を撮った写真が圧巻で、個人的には、干上がった塩湖を行くラクダの隊列を真上から撮った写真が気に入りましたが、極地に住む動物たちを写したものも傑作が多いように思いました。
「ナショジオ」は現在も、日々、膨大な写真・映像データベースを蓄積中であり、ウェブでその最新のものを観ることができますが、本書が約15年前の原本の刊行であることから、本書に出てくる写真は、何れも傑作でありながら、ウェブの検索順位ではかなり下位の方になるのではないでしょうか。
そうした意味では、『ザ・フォトグラフス-ナショナルジオグラフィック』から14年を経ての本書の刊行は、「復刻版」的意味合いもあるように思い、多くの優れたカメラマンの工夫や努力が、現在のナショジオの写真集成の礎としてあることに想いを馳せる契機となる写真集でもあるように思いました。