【1229】 △ 萩野矢 慶記 『エーゲ海 青と白が誘う52島 (2009/03 JTBパブリッシッブ) ★★★ (△ 萩野矢 慶記 『カラー版 ギリシャを巡る (2004/05 中公新書) ★★☆)

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文章はやや物足りないが写真はピカイチ。曇天の写真がもっとあってもいいのでは。

エーゲ海 青と白が誘う52島.jpg 『エーゲ海 青と白が誘う52島』 カラー版 ギリシャを巡る.jpg 『カラー版 ギリシャを巡る (中公新書)

遠い太鼓1.jpg 写真家の萩野矢慶記氏がエーゲ海の島々を獲った写文集で、以前に村上春樹氏が『遠い太鼓』('90年/講談社)にギリシャとイタリアの島々に滞在していた時のことを書いたものを読んでエーゲ海の島々に関心を持ち、この著者の『カラー版ギリシャを巡る』('04年/中公新書)を読んだのですが、ギリシャ本土とエーゲ海、イオニア海の島々を網羅していて、その分、取り上げている島の数は多いが、1つ1つの島の写真や解説はほぼ1ページに収められてしまったため、コンパクトではあるが視覚的にも内容的にも物足りなかった...。
 文章も紀行文というより解説文に近い感じで、何だか観光ガイドか観光データベースみたいな感じがしました(そうした目的で使用するならそれでもいいが、そうならば新書に入れる必要があるかと)。

 今回の写文集はエーゲ海に焦点を絞っていて、本の体裁が大判ではないものの新書サイズよりはゆったりしていて写真が大きめであるため、風光明媚なエーゲ海の島々の様子を堪能でき、そこで暮らす人々の様子なども多く取り上げられているため、1つ1つの島の個性のようなものが浮かび上がってきます。
 但し、紀行文や写真に添えられたコメントは相変わらず観光ガイド調で(JTB系の出版社ということもあるのか)、やはりこの人は、「文章」よりも「写真」の人なのでしょうか。

 エーゲ海に限ったと言ってもやはり相当数の島々があるわけで(52島)、村上春樹氏が滞在したスベツェス島なども結局は僅か1ページの写真と解説になってしまっていて、これはもう仕方の無いことなのか...、こんなに島だらけなら。
 村上氏はシーズンオフにこの島を訪れ、他の島やギリシャ本土も含め、地中海性気候の冬の降雨期や春先の微妙な気候の変化を経験していますが、こうした写真集に出てくるギリシャ及びその島々というのは、いつも抜けるような青空の下にある、つまり一般にイメージされているそれであって、この辺りも、もう少しいろいろな天候を織り込んでも良かったのではないかと(取材の都合でそうなってしまったのかも知れないが)。

萩野矢慶記.jpg とは言え、写真の腕はピカイチ。萩野矢慶記氏は1938年生まれで、車両機器メーカーの営業一筋で16年間勤務した後、'83年に写真家に転進したという人。結果として、70歳を迎えて今も「現役」、と言うか「第一線」にいます。
 別の所で、定年後の時間の使い方に悩む人に「趣味でも何でも、とにかく徹底的に挑戦したら新たな人生が開けるのではないでしょうか」とアドバイスをしていますが、自分自身は44歳で独立しているんですよね。
 個人的には、第2の人生をスタートさせるなら、やはり40代ぐらいがいいのかなあと思った次第。

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