【1220】 ◎ 元井 弘 『目標管理と人事考課―役割業績主義人事システムの運用』 (2007/08 生産性出版) ★★★★★

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職能主義との対比での役割主義に基づく解説。実務者の要求に応えて余りある内容。

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目標管理と人事考課―役割業績主義人事システムの運用』['07年] 『役割業績主義人事システム

 タイトル通り、目標管理と人事考課がテーマの実務書ですが、全3章構成の第1章で人事制度の基本から運用形態までを解説していて、職能制度の限界を説くとともに「役割業績制度」というものを提唱しており、この部分は著者の前著『役割業績主義人事システム』('05年/生産性出版)の"復習"であるとも言えますが、前著を読んでいない読者にも分かり易い(同時に詳しい)ものとなっています。

 「役割主義」「役割等級制度」と一般にと呼ばれる人事・等級制度に基づく目標管理の在り方や人事考課の実際について書かれた本としては最も明解かつ精緻に書かれたものであるばかりでなく、他の社員格付け制度をベースに書かれたものを含めても最上位の内容レベルであるように思われました。

 とりわけ第2章の「目標管理」に関しては、その本質、目標設定のポイント、目標達成度の把握と評価のポイント、目標管理の推進の実際、運用の実際といった順で丁寧に解説されていて、例えば、「職種による目標設定のポイント」として、営業職、生産職、調達職から研究開発職、企画管理職、一般事務スタッフまで6つの職種に分けて、それぞれにおいて効果的だと考えられる目標管理のポイントを多く掲げ、人事部を常に悩ます間接部門の目標管理と人事考課の問題に対する解決への選択肢乃至はヒントを示しています。

 第3章の「人事考課」についても、まずその本質論を分かり易く丁寧に解説し、その上で実際論に入っていて、フィードバックのポイント解説も丁寧です。
 考課表のサンプルをずらずら並べるような類書とは異なり、どこを見るのか、何を見るのか、何で見るのか、どう見るのかということが、ひとつひとつ言葉と概念図でもってきっちり解説されています。

 全体を通して、例えば職能主義と役割主義の考課体系の違いを図に示すなど、役割主義に対する理解を促すために職能主義を引き合いにし、まず職能主義だとどうなるか、それが役割主義だとこうなるかといったパターンでの解説の仕方が多くされているため、「役割(業績)主義」というものの本質を目標管理や人事考課の在り方から再確認できる本でもあり、その意味では実務者の要求に応えて余りある内容と言えるかも。

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This page contains a single entry by wada published on 2009年8月30日 00:37.

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