【1168】 △ 梅澤 正 『職業とは何か (2008/08 講談社現代新書) ★★☆

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キャリアの入り口に立ったばかりの人向け、と言うよりジュニア向け?

職業とは何か.jpg職業とは何か (講談社現代新書)』 ['08年]

 本書の趣旨は、職業とは「〜をやりたい」という主観だけではなく「〜を通じて社会の一員となる」という社会性がより重要であり、「自分に合った仕事探し」という考え方をやめて、社会が要請している仕事を探すべきであるということで、この内容からも察せされるように、キャリアの入り口に立ったばかりの人向けの本とでも言うべきものなのでしょう。

 キャリア教育の専門家が書いた真面目な本であり、書かれている内容も正論だと思いますが、「自分探し」なんてやめろということは養老孟司氏なども以前から言っていることであってあまりインパクトが感じられず、「職業とは何か」と言うことを「仕事とは何か」ということから考察している部分は、むしろ「仕事とは」の方にウェイトがいってしまっている感じもしました。

 「キャリアの入り口に立ったばかりの人向け」と最初に書きましたが、就職を間近に控えた人が読んでも、即"応用"という風にはならないかも。
 むしろ、イチロー、三浦和良、マザー・テレサから大前研一、三木谷浩史、小椋佳まで(誰彼と無くと言っていいほど多くの)有名人の歩んだキャリアや仕事観がその発言や著作などから引用されていて、こういうのってジュニア向けの書籍によくあるパターンではないかと。

 それでいて、冒頭にフランク・パーソンズの「職業選択」理論が出てきて、終わりの方では「ライフサイクル」論のダニエル・レビンソンの著作を紹介していたりもしていますが、但しそれらの解説も浅いもので、キャリア論を深く展開するというところまでは行っておらず、本全体として総花的一般論という感じは拭いきれませんでした。

 大学に入学したばかりぐらいの人向けか、あるいは高校生向けといったところかも知れません。

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This page contains a single entry by wada published on 2009年5月 9日 00:16.

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