【1151】 ○ 竹内 裕/白木 勉 『パートタイマーのトータル人事制度―資格・考課・賃金制度構築のすすめ方』 (2005/10 中央経済社) ★★★★

「●人事・賃金制度」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1152】 小林 由香 『〔改正高年齢者雇用安定法〕 65歳雇用延長の実務ポイント

法改正を見越したような内容の本。きっちりとした考え方と手順が示されている。

パートタイマーのトータル人事制度.jpg  パートタイマーのトータル人事制度9.JPG 
パートタイマーのトータル人事制度―資格・考課・賃金制度構築のすすめ方』 ['05年]

 '08(平成20)年4月にパートタイム労働法(「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)が改正され、「正社員と同視すべきパート労働者」の待遇を差別的に取り扱うことが禁止されるとともに、パート労働者の賃金を決定する際に、正社員との均衡を考慮し、職務の内容、成果、意欲、能力、経験等を勘案すること、正社員と職務と一定期間の人材活用の仕組みが同じ場合は、賃金を正社員と同一の方法で決定することなどが努力義務化されましたが、'05(平成17)年11月刊行の本書は、パートタイマーの人事・処遇制度の考え方や具体的な設計方法について書かれたもので、非正規雇用の増加を背景としたパートタイマーの戦力化要請に応えつつ、結果として、この法改正を事前に見越したかのような内容になっています。

 150ページほどの本ですが、その限られたページ数の中で、事例を示しつつ制度設計の基本理念を確認したうえで、等級制度、人事考課制度、賃金制度のそれぞれの設計・運用方法を簡潔にわかり易く解説しており、「トータル人事」の標記に沿った内容になっているかと思われます。

 職能資格制度のもとでの職能考課と業績考課の組み合わせを提唱していますが、正社員の方は、職能資格制度から職務・役割等級制度への移行が世の流れであるなか、確かにパートタイマーについては、企業ごとの実態にもよりますが、職能資格制度的な考え方から入っていった方が制度設計し易いケースも多いように思いました(この著者は、正社員についても「能力・成果主義」という呼称にて同じような考えを別著で提唱しているのだが)。

 職能調査の実施や職能資格基準の作成、業績考課制度の設計、レンジ給と等級別昇給額の設定(レンジレートスタイル)など、やることは正社員の制度設計と変わりません。
 本書の内容自体には大いに賛同しますが、問題は、中小零細企業の場合、正社員においてすら、こうした制度の設計や運用がきちんとなされているかどうか、疑問に思われる点。
 賃金に関しては大部分が「努力義務」であること、制度設計を行う社内人材の不足問題などもあり、そのために、パート労働者の雇用管理の改善のため、評価・資格制度などを導入した場合の中小事業主向けの助成金制度が設けられたりはしていますが...。

About this Entry

This page contains a single entry by wada published on 2009年4月26日 00:11.

【1150】 ○ 山本 周五郎 『青べか物語』 (1961/01 文藝春秋新社) ★★★★ was the previous entry in this blog.

【1152】 ○ 小林 由香 『〔改正高年齢者雇用安定法〕 65歳雇用延長の実務ポイント』 (2006/02 中経出版) ★★★★ is the next entry in this blog.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1