【1076】 ○ Arnold Lobel 『Frog and Toad Are Friends (1970/08 Harper Collins) 《 アーノルド・ローベル (三木 卓:訳) 『ふたりはともだち (1972/01 文化出版局)》 ★★★★

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大人の郷愁を掻き立てる要素も。ミュージカルになっている理由がわかるような。

ふたりはともだち.gif    Frog and Toad Are Friends (Hardcover).jpg     Arnold Lobel.jpg Arnold Lobel (1933‐1987/享年54)
ふたりはともだち (ミセスこどもの本)』文化出版局 (1972) /『Frog and Toad Are Friends (I Can Read Book 2)』HarperCollins; Library.版 (1970)

『ふたりはともだち』.JPG 1970年にアメリカの絵本作家アーノルド・ローベル Arnold Lobel (1933‐1987/享年54)が発表した「かえる君とがま君」シリーズの第1作で(原題:Frog and Toad Are Friends)、「はるがきた」「おはなし」「なくしたボタン」「すいえい」「おてがみ」の5話を収録、タイトルを聞いただけで懐かしくなる人もいるのでは?("がま"とはヒキガエルのことだが、欧米ではヒキガエル(toad)とカエルは(frog)は別概念みたい)。

 このシリーズ、『ふたりはいっしょ(Frog and Toad Together)』('71年)、『ふたりはいつも(Frog and Toad All Year)』('76年)、『ふたりはきょうも(Days with Frog and Toad)』('79年)と続き(各冊とも5話ずつ収録)、それぞれ国際的な賞を受賞しているほか、日本でも芥川賞作家・三木卓氏の翻訳により知られていて、『ふたりはともだち』の第5話「おてがみ」は、教科書でも採り上げられています。
Frog and Toad Are Friends.jpg
 「おてがみ」は、手紙をもらったことが無い「がま君」のために、かえる君が手紙を書いてあげるのですが、その手紙を届けることを頼んだ相手がカタツムリであるという―。2人で手紙を待ちくたびれて、かえる君はがま君に「君のことを好きだ」と書いたのだよと、とうとう手紙の内容を話してまうが、それでも手紙がやっと届いたとき、がま君はもう一度歓びを新たにする―。

 どちらかと言うと、がま君の方がちょっと"もっさり"した感じだけれど、実は寂しがり屋の繊細な性格で、それをかえる君が元気づけようとして、逆に思惑と異なることになりそうになる―そのかえる君のがま君への思い遣りと、両者の引き起こすちょっとしたトラブルが微笑ましく、また、時にしんみりさせられるといった感じ。
 こういう友達づきあいって昔はあったなあと、大人に郷愁を掻き立てさせる点では、大人向けの要素がかなりあるようにも思います。

石丸謙二郎、川平慈英.jpgFrog and Toad2.jpgFROG AND TOAD2.jpg 米国ではミュージカル化されていて、原作にある幾つかの話を組み合わせて脚本化しているようですが、そのため、子供向け劇場で上演するものやブロードウェイで上演するものなど、幾つものパターンがあるようです(両親がブロードウェイ・ミュージカルに出かける時、子供は家で留守番というスタイルは、今でもあまり変わっていないみたい)。

 ブロードウェイ版は、着ぐるみなしのスーツ姿で演じるヴォードヴィル・ショーのようなもので、日本でも同様のスタイルで「フロッグとトード〜がま君とかえる君の春夏秋冬」として上演されています(出演:石丸謙二郎、川平慈英)。

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