【1054】 ◎ ジッロ・ポンテコルヴォ 「アルジェの戦い」 (66年/伊・アリジェリア) (1967/02 松竹映配) ★★★★☆

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ニュース映像を思わせるような画像。ドキュメンタリータッチで描くことで成功している。

アルジェの戦い1.jpgアルジェの戦い(トールケース仕様).jpgアルジェの戦い(パンフレット).jpg 「アルジェの戦い」.jpg 
アルジェの戦い(トールケース仕様) [DVD]」/パンフレット/ポスター(La battaglia di Algeri(1966)

新宿アートビレッジ上映予告(青島幸男 企画・製作・原作・脚本・監督・主演「鐘」('66年)・萩本欽一 企画・製作・監督・主演「手」('69年))
 「アルジェの戦い」とは、フランスの支配に対するアルジェリアの独立戦争(「アルジェリア戦争」)を指しており、1954年11月、首都アルジェのカスバでアルジェリア民族解放戦線が蜂起したことから始まったアルジェリア人民の抵抗運動の火は、アルジェリア全土からヨーロッパの街頭にまで及んで至る所で爆弾闘争へと発展していき、1962年にアルジェリアは独立を果たします。

アルジェの戦い5.jpg この作品は、アルジェリア政府の協力を得てイタリア左翼映画人が作り出した映画であり(監督はイタリア人のジッロ・ポンテコルヴォ(Gillo Pontecorvo,1919‐2006)、音楽はエンニオ・モリコーネ)、8万人のアルジェ市民の協力を得て5年の歳月をかけて完成させており、ニュース映像を思わせるような粗い画像が、ドキュメンタリータッチを盛り上げて成功しているように思います。

 爆弾闘争のシーンが多く、最初観たときは戦時中のニュース映像ではないかとも思われ、その外にも記録フィルムなのか演出なのか判別がつかない部分が多くありましたが、後で知ったところによれば、実はニュース映像は一切使用しておらず、純粋な"劇映画"であり、建物の爆破シーンなどは、撮影用に家を新築し、それを1件1件爆破していったとのことです。

アルジェの戦い2.jpg 爆弾闘争は、支配側の国から見れば「テロ」ということになるのでしょうが、被支配側から見れば、支配国(搾取する側)の圧倒的な武力に対抗するには、こうしたやり方しかなかったともとれます。1966年・第27回ヴェネチア国際映画祭では、反仏的内容に腹を立てたフランス代表団が、この作品がグランプリに選ばれると全員退場しましたが、フランソワ・トリュフォーだけが会場に残ったというエピソードも有名です。

アルジェの戦いtop.jpg 映画の中で指導者の1人を演じている人物は、現実にカスバで地下組織を指導した人で、この映画のプロデューサーでもあり、後に、「私は機関銃をカメラにとりかえたのです。当時を再現し、あの感動を再び呼びさますことによって、ある国家や国民を審判するのではなく戦争や暴力のおそろしさを伝える客観的な映画を作りたいと念願していたのです」と語っています。

 「テロとの戦い」を声高に叫ぶ国家指導者がいますが、その国にとって都合の良い解釈だったりもします。そうした意味では現在も別個の視座を提供してくれる作品であり、但し、爆弾闘争を英雄的に美化したりはせずに一定の客観性を保持しているのが、この作品の優れた点と言えるのでしょう。

「アルジェの戦い」公式サイト
2016年10/8(土)~11/4(金)新宿・K's cinema(ケイズシネマ)などでオリジナル言語版上映(配給:コピアポア・フィルム)。
2016年10/12国内初ブルーレイ化。


新宿アートビレッジ3.png「アルジェの戦い」●制作年:1983年●原題:LA BATTAGLIA DI ALGERI●制作年:1966年●制作国:イタリア・アリジェリア●監督:ジッロ・ポンテコルヴォ●撮影:マルチェロ・ガッティ●音楽:エンニオ・モリコーネ●時間:123分●出演:ブラヒム・ハギアグ/ジャン・マルタン/ヤセフ・サーディ/トマソ・ネリ/ファウジア・エル・カデル/マルチェロ・ガッティ●日本公開:1967/02●配給:松竹映配●最初に観た場所:新宿アート・ビレッジ(79-02-24) (評価:★★★★☆)●併映:「ジョニーは戦場へ行った」(ドルトン・トランボ)

新宿アートビレッジ (歌舞伎町ジャズ喫茶「タロー」3F、16ミリ専門の上映館・席数40) 1980(昭和55)年に活動停止

新宿アートビレッジ上映予告(青島幸男 企画・製作・原作・脚本・監督・主演「鐘」('66年)・萩本欽一 企画・製作・監督・主演「手」('69年))
アートビレッジ.jpg

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