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2008年11月16日   書評:HUREC AFTERHOURS 人事コンサルタントの読書備忘録

【1043】 ○ ジョージ・スティーブンス 「ジャイアンツ」 (56年/米) (1956/12 ワーナー・ブラザーズ) ★★★★ (○ ジョージ・スティーブンス 「シェーン」 (53年/米) (1953/10 パラマウント映画) ★★★☆)

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「父親は強い男でなければならない」ということか。

ジャイアンツ.jpg ジャイアンツ3.jpg 「ジャイアンツ [DVD]」 エドナ・ファーバー「ジャイアンツ(上・下)」早川書房.jpg エドナ・ファーバー 『ジャイアンツ(上・下)』 ['56年/早川書房]

ジャイアンツ ポスター.jpg  「ジャイアンツ」('56年)はエドナ・ファーバー女史のベストセラー小説の映画化作品ですが、完成3日後にジェームズ・ディーンが事故死するという不幸もあって話題を呼び、当時アメリカでも日本でも大ヒットしたとのこと。
 ジェームズ・ディーンの老け役の演技には批評家の間で賛否があったものの、ディーンのスタニフラフスキー流演技が、ロック・ハドソンの古典派演技と好対照を成している点でも興味深い作品。
 
 その他にも実に色々な見方ができる映画だなあと。以前はアメリカン・ドリームの光と影を体現したジェームズ・ディーン演じるところのジェット・リンクにばかり目がいっていましたが、実はこの作品は、ロック・ハドソン、エリザベス・テーラーが夫婦役を演じる家族ドラマだったのだと思いました(当初は夫役をウイリアム・ホールディンがやる予定だったが、監督の気が変ってロック・ハドソンに。妻役も、グレース・ケリーに決めていたが、彼女がモナコ大公と結婚したために、オードリー・ヘップバーンなどが候補としてあがり、最終的にエリザベス・テーラーに。一方、ジェームズ・ディーンは監督に直訴して、このジェット・リンク役を得たという)。

シェーン.jpgSHANE.jpg ある家族の前に突然現れた流れ者という設定は、同じジョージ・スティーブンス監督の前作「シェーン」('53年)と似ています。
 「シェーン」に出てくる家族の父親は、シェーンに一方的に助けられ何とか悪徳牧畜業者から家族を守りますが、これでは家長としての面目は丸つぶれではないでしょうか。
 奥さんはシェーンに惹かれ、シェーンも奥さんに惹かれている―その想いを断ち切るかのようにシェーンは去っていきますが、この後の夫婦の関係という観点から考えると、ハッピーエンドとは言い切れないモヤモヤしたものが残ります。

 一方、この「ジャイアンツ」の一家の父親(ロック・ハドソン)は、流れ者(ジェームズ・ディーン)に対し、家長としての威厳を賭して対抗し、ジェット・リンクに惹かれそうになる奥さん(エリザベス・テーラー)の気持ちを自らの元に繋ぎとめているように思えます。
Giant is best known as Dean's last film.jpg
 ジョージ・スティーブンス監督には幼い頃に母親喪失の不安感があったそうですが、自身の不安の克服が「父親は母親を守ることができる強い男でなければならない」というアメリカ的な信条に沿った内容に結実したということなのでしょうか。
 撮影中にジェームズ・ディーンは、自分の役の影が薄いことをジョージ・スティーブンス監督に何度も抗議したものの、監督にことごとく却下されたそうです。やはり、この映画の主役はロック・ハドソンなのです。
                             Giant is best known as Dean's last film.

 何よりも、タイトルに表される舞台スケールの大きさ(「ジャイアンツ」はテキサス州のことを表すと同時に、原題「ジャイアント」は巨大油田を表す)に惹かれます。ここが日本の家族ドラマと一番違うところであり、あの石油が噴き出すシーンなどはマネできない。
 なにせ、テキサス1州だけで日本の総面積の1.8倍ぐらいの広さがありますから、まさに“ジャイアンツ”。

「ジャイアンツ」●原題:GIANT●制作年:1956年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・スティーブンス●音楽:デミトリー・ティオムキン●原作:エドナ・ファーバー「ジャイアンツ」●時間:201分●出演:ジェームズ・ディーン/エリザベス・テーラー/ロック・ハドソン●日本公開:1956/12●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:早稲田松竹(77-12-21) (評価★★★★)●併映:「理由なき反抗」(ニコラス・レイ)

OUT OF ROSENHEIM.jpg ところで、「シェーン」で主役を演じたアラン・ラッド(1991-1964)は、この1作でハリウッドの大スターになったのに、その後は有名俳優にしては大した作品に出ておらず、60年代を過ぎて人気にも陰りが出てからはノイローゼになり、最後は睡眠薬の多用が原因で亡くなっています(享年50)

 一方のシェーンの敵役を演じたジャック・パランス(1991-2006)は、その後も性格俳優としても活躍し、どちらかと言うと相変わらず悪役が多いのですが、パーシー・アドロン監督の「バグダッド・カフェ」('87年/西独)で“老い楽の恋”に静かな情念を燃やす老画家役を好演し(当時77歳)、個人的には、あの映画の中では、ジェヴェッタ・スティールが歌うテーマ曲「コーリング・ユー」と並んで最も印象に残りました(「あのジャック・パランスが」という想いで観たということもあるが)。
 しかし、その後も娯楽映画で“しっかり”悪役を演じ続け、'06年に老衰で亡くなっています(享年87)。                                                  Jack Palance in Bagdad Cafe

「シェーン」●原題:SHANE●制作年:1953年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・スティーブンス●音楽:ヴィクター・ヤング●原作:ジャック・シェーファー「シェーン」●時間:118分●出演:アラン・ラッド/ヴァン・ヘフリン/ジーン・アーサー/ブランドン・デ・ワイルド/ジャック・パランス●日本公開:1953/10●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:高田馬場パール座(77-12-20) (評価★★★☆)●併映:「駅馬車」(ジョン・フォード)

バグダッド・カフェ.jpgバグダッドカフェ.jpg「バグダッド・カフェ」●原題:BAGDAD CAFE(OUT OF ROSENHEIM)●制作年:1987年●制作国:西ドイツ●監督:パーシー・アドロン●製作・脚本:パーシー・アドロン/エレオノーレ・アドロン●撮影:ベルント・ハインル●音楽:ベルント・ハインル●時間:91分●出演::マリアンネ・ゼーゲブレヒト/CCH・パウンダー/ジャック・パランス/クリスティーネ・カウフマン/モニカ・カローン●日本公開:1989/03●配給:KUZUIエンタープライズ●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース (89-03-05) (評価★★★★)

 
 
 

           



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和田泰明

投稿者 wadamy : 2008年11月16日 19:57