「●宇宙学」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1245】 眞 淳平 『人類が生まれるための12の偶然』
人間は宇宙についてほんの一部しか知りえていないことを痛感。
『宇宙の新常識100 宇宙の姿からその進化、宇宙論、宇宙開発まで、あなたの常識をリフレッシュ! (サイエンス・アイ新書 75)』 ['08年]
ソフトバンククリエイティブの"サイエンス・アイ新書"の1冊で、ただ「宇宙の新常識」を100項目並べるのではなく、宇宙の生成、ダークマターとダークエネルギー、素粒子論と宇宙、最近の観測技術の進歩、太陽系について、宇宙飛行・宇宙開発のなど、テーマを大括りにして、それぞれについて、今までにわかっていることから、今後究明していく課題まで体系的に書かれているため、単なる「100問100答」というより1冊の入門書として読め、更に、直近の研究成果がふんだんに盛り込まれているほか、写真やグラフィックが各ページにあって、見た目にも充実しているという本。
伴星からガスを吸い込むブラックホール [NASA]
NASAから提供された写真やグラフィックが多くあり、それらがとりわけ美しく、NASAが写真だけでなく、イメージ・グラフィックスも上質のものを多く所有していることに感心させられました。
著者は科学者ではなく科学ライターですが、宇宙の生成や素粒子論の解説において、理論物理・原子物理・量子物理のエッセンス部分をわかり易く織り込んでいるように思えました。
リング状に分布するダークマター(写真)とダークマターの3次元マップ(CG) [NASA]
でも、宇宙がどんなものでできているのかというのは、今のところ宇宙全体の4%ぐらいしかわからなくて、あとはダークマターが23%、ダークエネルギーが73%を占めるという―、ダークマターの構造などは推論されていますが、宇宙の4分の3近くを占めるダークエネルギーについては、質量を持っていないということぐらいしか判っておらず、人間は宇宙に関して、まだほんの一部しか知りえていないということを痛感させられます。
一方で、太陽系に関しては近年いろいろなことが判ってきたようで、その大きさで言えば、当初は太陽から地球までの距離の100倍くらいだと思われていたのが、今では1兆5000億〜15兆kmと推論されているとのことで、太陽から地球までの距離の1万倍から10万倍ということかとビックリ(当初考えられていたより100倍から1000倍大きいことになるが、このことには冥王星が正式の「惑星」の定義から外れたことも関係している)。
太陽の起源についても、星雲の中から生まれ、散開星団(プレアデス星団などが典型例)の一員を経て今のような単独の恒星になっているとのことですが、同じ星団にいた兄弟の星が今何処にいるかということまでは、さすがに知りようがないみたいです。でも、どこかにあるんだろうなあ、太陽の兄弟だった星が。