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写真が充実。解説・イラストもいい。深海に行けばいくほど、まるで別宇宙の生物のよう。
『深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち』['05年/ネコ・パブリッシング]
前半部が様々な深海生物を脊椎動物(所謂"深海魚")、無脊椎動物(クラゲ・イカ・タコ・ナマコなど)、節足動物(エビなど)などにジャンル分けした写真集で、後半部が、海層の深度別に区分した生物イラスト(モノクロ)と解説、前半部と後半部の相互索引機能が無いのがやや不満ですが、それ以外は満足のいく内容でした(最後に総合索引はある)。
とりわけ、深海生物の写真が点数も多く、またよく撮れていて、この種の本や図鑑などは殆どがイラスト主体であることを考えれば、この写真の充実ぶりは相当のものだと言えるのでは。
かなり貴重な写真も含まれているかと思いますが、ただ写真で見せるだけでなく、出来るだけその生き物の生態がわかるような写真を収めるよう配慮して掲載されているように感じました。
解説は、最新の観察・研究情報を織り込みながらも、文章の端々にユーモアも感じられて親しみ易いものとなっており、なかなかの迫力であるイラストも、著者自身の描いたものです。
魚類にしても、我々が通常思い浮かべる"サカナ"のイメージからかけ離れているものが多く、無脊椎動物や節足動物も含めると、その生態は更に不思議さを増し、深海に行けばいくほど、まるでSF世界か別宇宙の生物のようになってきます。
たまには、こうした「暗黒世界の住人たち」に想いを馳せるのもいいかも。
一見まったく我々の日常に関係無いように思えるけれども、ハンバーガーのフィレオフィッシュに使われているメルルーサ(アルゼンチンへイク)なども、一応"深海魚"の部類に入るのだなあと。
深海生物イラスト (イラスト:北村雄一) 上から順にリュウグウノツカイ・オニキンメ・コウモリダコ・オオグソクムシ