【959】 ○ 山田 ふしぎ 『カラー版 宇宙に行くニャ! (2006/07 岩波ジュニア新書) ★★★★

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全編カラーのマンガでわかり易く解説。写真も豊富で、且つコンパクトな点がいい。

宇宙に行くニャ!.jpg 『カラー版 宇宙に行くニャ! (岩波ジュニア新書)』 ['06年]

 何だかふざけたようなタイトルですが、これ、意外とアタリで、親子で楽しめるものになっています(子供の方は小学校高学年または中学生以上向けといったところか)。

 "全頁フルカラー"マンガで、「物知りネコ」のビーフンと、「面白いけどなぜ?」のタンメンの2匹の猫クンの「宇宙への旅」の話ですが、かけあい漫才のような両者(両猫)のやりとりが楽しいばかりでなく(ギャーギャー少しうるさくもあるが、これはまあ賑やかしということで)、説明が大変わかり易いです。

野菜ロケット.jpg 最初の「彗星」に関する説明などは、自分も初めて知ることも多く、日食や月食の起きる仕組みからロケットが飛ぶ原理やその構造まで、色々と宇宙に関する下調べも丹念で(宇宙飛行士が打ち上げと帰還のときだけ橙色の宇宙服を着るのはなぜか、なんてことも初めて知った)、また、擂りおろしニンジンとオキシドールで飛ばす「野菜ロケット」などといった簡単な科学実験の方法まで書いてあり、「自由研究」のテキスト的要素もあります。

 野菜ロケット(from JAXAクラブ)

 いざ宇宙に飛び出してからも、宇宙服を着ないで宇宙に出たらどうなるかといった素朴な疑問に丁寧に答えるなどしていて、一瞬にして血液が沸騰し、数秒から10秒ぐらいでミイラのような状態になる-という回答はちょっと怖いけれども、試した人がいないので「と考えられている」だけであるとフォローしているのは、確かにそうだなあと。

 いっぱい色んなことを説明し、間にギャグも入るため、2匹の猫クンの宇宙旅行の方は、月に行った後は、火星と土星と冥王星に行っておしまい、「残りページが少ないのギャ」ということで、この辺りの大雑把さ、いい加減さも一見「岩波」らしくないけれど、新書でコンパクトに纏めるということを主眼にしたのでしょう。

 所謂"学習マンガ"の類ということになるのかも知れませんが、携帯に便利なのが良く、また、コンパクトながらも写真が充実していて、コマのバックに天体写真を用いている箇所が数多くあり、その写真がどれも美しい。

 彗星や流星雨、火星の表面や水をたたえたクレーター、土星や地球のオーロラの写真には引き込まれるものがあり、本全体として、図書館によく置いてあるような一般的な"学習マンガ"に比べると、紙質も良く、構成もかなり垢抜けていると言えるのでは。

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This page contains a single entry by wada published on 2008年7月22日 23:46.

【958】 ○ 鈴木 敬信 『恒星宇宙99の謎―天文学最前線からのレポート』 (1977/12 サンポウ・ブックス) ★★★★ was the previous entry in this blog.

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