【859】 ○ 猪木 正文 『宇宙時代の常識―教養としての相対性理論』 (1966/02 講談社現代新書) ★★★★

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数式を使わないで相対性理論を説明。文系向きで楽しく読める入門書。

宇宙時代の常識-教養としての相対性理論.jpg 『宇宙時代の常識―教養としての相対性理論』 講談社現代新書 ['66年] 数式を使わない物理学入門.jpg 『数式を使わない物理学入門―アインシュタイン以後の自然探検 (1963年)』 光文社カッパブックス

宇宙時代の常識―教養としての相対性理論0.JPG宇宙時代の常識_5317.JPG アインシュタインの相対性理論の入門書として、たいへん分かり易い本で、同時期に読んだ何冊かの中で、内容が最もすんなり頭に入った本でした。

猪木 正文.JPG 版元は講談社ですが、〈ブルーバックス〉ではなく〈現代新書〉の方に入っているのがミソというか、初心者向きであるとともに文系向きであり、殆ど数式を使わず、比喩表現など言い表し方を工夫することで補っています。

 説明を補足する図も、図というより「絵」的で(真鍋博のイラスト)、喩え話として挿入されている宇宙旅行の話なども含め、SF小説感覚で読めます。

 例えば、加速度(重力)が時間を遅らせることの説明を、年上の妻との不和を解消するにはどうしたらよいかといったユーモラスな話で説明したり(妻を宇宙船に乗せて旅をさせ、年齢差を逆転させることで不和解消?)、遊星間または恒星間宇宙船は可能かというSF的テーマのもと試算結果を検討したりして(原理的には、例えば20光年先にある星ならば地球時間で18年で往復可能ということになる)、読者の興味を惹き付けるのが上手。

 著者の猪木正文(1911‐1967)は、湯川秀樹、朝永振一郎らを育てた仁科芳雄(1890‐1951)に師事した物理学者ですが、『数式を使わない物理学入門』('63年/カッパブックス)といった著書もあり、「数式を使わない説明」を得意としていたのでしょうか、本書刊行の翌年、50代半ばで亡くなっているのが惜しまれます。

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