【819】 ○ 立花 隆 『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 (2001/04 文藝春秋) ★★★★

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"本探し"ではなくこの書評集自体を楽しむ気持ちで読めば...。

1ぼくが読んだ面白い本・ダメな本.jpgぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術.jpgぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術.jpgぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』 『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』 〔'01年/文春文庫'03年〕

 『ぼくはこんな本を読んできた-立花式読書論、読書術、書斎論』('95年/文藝春秋)に続く読書論・書評集で、書評部分は、「週刊文春」連載の「私の読書日記」の、前著が'92年8月から'95年10月までの3年分を収録していたのに対し、本書は、'95年11月から'01年2月までの5年分を収録、前著は書評部分が本全体の半分弱だったのに対し、本書は8割が書評で、書評を楽しみたければこっちの方がいいかも。

 前著を読んだ時は、書庫(兼仕事場)として地上3階、地下1階の「ねこビル」を建てたという話の印象が強く、また圧倒され、書評の方は難しくて高価な本が多くてあまり楽しめませんでしたが、本書には、著者の「書評」を書く際のスタンスが(前著にも一応あったのだが)よりわかり易く記されていて、お陰で楽しめました(選んでいる本の難易度も価格帯の高さも相変わらずなのだが)。

 著者が書評で取り上げるのは、原則として自身の仕事とは関係ない本で、雑誌の原稿締切り近くに書店に行って見つけてきた所謂"旬の本"から選んだものであるとのこと(大書店に行かないと無い本が結構多いように思うが)、但し、通常の「書評らしい書評」、または「ヒマ人用の趣味的な書評」として書いているのではなく、そうしたヒマ人が一生手に取ることのないような、しかし本として価値があるものを、敢えて紹介しているとのこと。

 個人的には、以前は、読むべき本を探す気持ちがどこかにあって、逆にこの人の書評を楽しめない面があったかも...。著者の意図に反するかも知れませんが、この書評集自体を楽しむ気持ちで読めば、難しくて高価な本から、面白いところだけ抜き出して見せてくれているのは、有り難いことであるとも言えます。
 著者自身、意識していることですが、「奇書」の含まれている比率が高いと言うか、この人、何でも極端な話が好きみたい(その部分だけだと面白いけれど、何千円も払って本そのものを購入する人の比率は少ないのではないか)。

 「最後まで読まなければならない本」(推理小説など)、「速読してはいけない本」(文学作品など)は含まれておらず、そうした本は著者にとっては「タイムコンシューマー」(時間浪費)であり、要するに小説は著者のこの書評シリーズには含まれていません。
 この割り切りも、スッキリしていて良いと思えてきました。

 【2003年文庫化[文春文庫]】

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