【807】 ○ 金田一 春彦 『日本語 (1957/01 岩波新書) 《 日本語 (上・下)』 (1988/01 岩波新書)》★★★★

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日本語・言語学の基本書。著者の碩学に驚かされる。

日本語113.JPG日本語 金田一春彦.jpg  日本語 上.jpg 日本語 下.jpg  金田一春彦先生.jpg 金田一 春彦 (1913-2004/享年91)
日本語 (1957年) (岩波新書)』/『日本語〈上〉〈下〉)

 旧版(全1冊)は著者の40代前半の著作で、「日本語はどんな性格を持つ言語か」をテーマに、地域や職業、身分・性別、場面等の違いにおける日本語の諸様相を外国語との比較において検証し、更に、発音・語彙・文構成の各側面で見たその特性を述べたもので、日本語・言語学の基本書とも言える本。

 後書きに、「日本語をあらゆる角度から眺め、その性格を明らかにするつもりだった。が、日限と紙数の制限の関係で、予定したちょうどなかばで、ペンをおかなければならないことを残念に思う」とありますが、一方で、「形態論から見た日本語に言及しないで、日本語の特色を論ずることはナンセンスに近い」ともあります。

 言語学者ソシュールは、「言語には、ラングとパロールの2側面があり、ラングとは、ある言語社会の成員が共有する音声・語彙・文法の規則の総体(記号体系)であるのに対し、パロールは、ラングが具体的に個人によって使用された実体である」としています。

 本書を最初に読み始めたときは、言語学的な(ソシュールが言うところのラングの)解説が続いて入り込みにくかったのですが、引いてくる事例が古今東西の言語、日本の古典・近代文学作家から我々の日常表現まで多彩で、読み進むうちにハマってくるという感じ。
 その碩学には驚かされますが、語り口には、一般読者に配慮したかのような暖かみがあります。

 もともと日本語のアクセント研究からスタートした人ですが、本書以降、日本人の言語表現(パロール)、更には日本人論・日本文化論の方へまで領域を拡げていたように思え、一方で、アクセント研究も続けていたようです(10代の頃は作曲家志望だったとか)。
 本書についても、初版刊行後30年をを経た'88年に改訂増補(2分冊になった)するなどのフォローしています。

《読書MEMO》
● 日本語はどこからきたか→世界の言語の中で、日本語ほど多くの言語と結びつけられた言語はない→日本語がそれだけ〈どの言語とも結びつきにくい言語だ〉ということを示す。(11p)
● 日本語はシナ語の影響をかなり受けているが、外国語へ日本語が与えた影響はきわめて少ない。これは文明国の国語として珍しいことである。(28p)
● 日本語の方言の違いが激しいのは、日本人がこの領土へ着てからの年月が長いから(34p)
● 日本語は拍の特質がポリネシア語に近い。日本語の単語が長くなるのはそのため―例:小田急電鉄の駅名Soshigayaookura、Seijyoogakuenmae 外国人には読みづらい(110p)
● 「湯」の英語は無い(129p)
● 「惜シイ」「モッタナイ」はアメリカ人などに説明しにくい単語(141p)
● もやもやした気分を表す語句が多い「何となく・そろそろ・ぼつぼつ・そのうちに・なんだか・どこか」(142p)

   



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