「●数学」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●化学」 【1791】 セオドア・グレイ 『世界で一番美しい元素図鑑』
読条件反射的な計算訓練だけでは「説明力」はつかず、「試行錯誤」が重要であると。
『数学の出番です。―つい人に伝えたくなる数学のハナシ (チャートBOOKS SPECIAL ISSUE)』 〔'06年〕
数学に関する"つい人に伝えたくなるハナシ"が24話あり、それぞれの中に代数や幾何の問題が含まれていますが、主に日常生活から素材を選び、エッセイ風に(しばしば長屋談義風に)柔らかい文章でわかりやすくハナシを進めていくので、気軽に読めて、かつ飽きさせません。
クイズ番組での正解との差が最も小さい回答者を勝ちとする近似値クイズに対する疑問を呈した「ニアピン賞の怪」などは、誰もがおかしいと感じたことがあるのでは。
(a+b+c)の2乗を求めるのに、図を使って考えるというのは目からウロコで、7つの丸いケーキを16人で均等に分ける方法というのも、答えを聞けばなぁ〜んだという感じですが、自力では解けなかった...。
全体に問題文がシンプルなため、すっと入っていくことができ、それでいてなかなか奥が深い。
中身は単純なのに、どうしてそうなるのか未だに解けない命題も多くあるのだなあと。
ちょっと気軽に、自分の"数学脳"をリフレッシュさせるにはいい本です。
この著者、数学者でなく編集者ですが、漱石の『我輩は猫である』の寒月君(寺田寅彦がモデル)みたいな"いい味"が出ているなあという感じがしました。