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教科書で(意図的に?)省かれてしまっていることも網羅。生き生きとした物語風の描写。
『教養人の東洋史 下 15世紀から現代迄 現代教養文庫 548』〔'66年〕
上左から 林則徐/李鴻章/康有為/袁世凱/孫文/毛沢東/イェニチェリ/スレイマン1世/ムハマンド・アリー/ターハ・フセイン/ナセル/アクバル1世/タゴール/ガンジー/スカルノ
現代教養文庫の『教養人の東洋史(上・下)』('66年)は、 『教養人の世界史(上・中・下)』('64年)の姉妹版で、このシリーズは何れも2ページ見開き1テーマで、広範な視点から世界史上の出来事を選択し、物語風にわかりやすく解説しながらも、それらが時系列できちんと繋がっているという良書でした。
ともに下巻が身近に感じられ、学校の授業などで最後はスピードアップされて割愛されがちな部分を、もう一度におさらいしてみるには良い本。ただし、「現代」と言っても'60年代の入り口までですが...。
特に「東洋史」は、本来我々が知っておくべきことであるのに教科書や授業などでは(意図的に?)省かれてしまっていることも、かなり含まれています(出版社の姿勢によるところも大きいと思うが、既に版元は倒産し、本自体も入手が難しくなっている)。
「東アジア史」「西アジア史」「インド史」の3章にわかれ、「東アジア史」は明朝以降の中国史が中心となりますが、朝鮮史などもとりあげていて、トルコを中心とした「西アジア史」には、中東史との関連でエジプト史などアフリカ史が含まれており、「インド史」にはベトナム、インドネシアなど東南アジアの諸国の歴史上の出来事や人物に関する記述も含まれています。
歴史の表舞台だけでなく裏舞台で活躍した人物や、小さな反乱・蜂起などもとりあげ、生き生きと描写していて小説を読むように読めるのと、見開きページごとに関連する人物や事件の写真があり、「こんな人がいたんだあ」「こんなことがあったんだあ」という感じで読む者を飽きさせません。
受験では出題されないけれども、歴史を学ぶ人に本当に知っておいてほしいことを伝えたいという、編者らの意気込みが伝わってきます。