【745】 ◎ 石井 妙子 『続「問題社員」対応の法律実務―いざというときの対処法』 (2006/07 日本経団連出版) ★★★★☆

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通達や判例の引き方が丁寧で、しかも、とりあげている問題にジャストフィット。

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続「問題社員」対応の法律実務』('06年) 『「問題社員」対応の法律実務』('02年)

 著者は労務問題のエキスパートとして活躍する弁護士で、同著者の『「問題社員」対応の法律実務-トラブル防止の労働法』('02年/日本経団連出版)は、この分野の本としてはベストセラーになりましたが、本書はその続編です。

 主に'00年以降、専門誌の労務相談コーナーなどに書いたものを纏めて1冊の本にしたものですが、パワハラの問題や成果主義に関するトラブル、情報管理、内部告発の問題など、最近よくある問題も多くとりあげられています。

 前著同様Q&A方式ですが、45項目から成るQ&A1つ1つが、さらに3項目前後のQ&Aで構成されていて、関連する事柄をグループ化して理解できるため、単一問題の解決法の「点」的な集合ではなく、類似する問題を「連続する線または面」として捉えることが可能で、読むにつれ、問題解決の方法と併せて法の考え方が身につくかと思います。

 また、この著者の本の特長ですが、通達や判例の引き方が丁寧で、しかも、とりあげている問題にジャストフィットしていて、わかりやすいです。判例から遡及してQ&Aを構成しているという観もありますが、判例学習には最適かと思います。

 一方で、かなり判断が難しいく、しかし、必ずしも全てがレアケースとは言い切れず、どの企業でも起こる可能性があるようなケースをも敢えてとりあげているため、裁判になった際にどうなるという前に、企業内解決を図る努力をするよう示唆しているものも多く、これは問題解決に際しての重要なポイントだと思います。

 著者の立場は、基本的には使用者側ですが、会社が「問題社員」に対して毅然とした態度を示すためには、それなりの平素の労務対策が使用者側企業に求められるということを、本書を読めば読むほど痛感させられます。

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This page contains a single entry by wada published on 2007年10月 8日 00:37.

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