【743】 ○ 渡部 卓 『部下を「会社うつ」から守る本 (2007/05 大和書房) ★★★☆

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ビジネスパーソンの目線に立ってわかりやすく解説した啓蒙的入門書。

部下を「会社うつ」から守る本.jpg 『部下を「会社うつ」から守る本』 〔'07年〕 渡部卓さん.jpg 渡部 卓(たかし) 氏 (ライフバランスマネジメント社社長) NHK教育テレビ「福祉ネットワーク」 '05.06.14 放映 「ETVワイド-"うつに負けないで"」より

会社のストレスに負けない本.jpg そのわかりやすさで好評だった『会社のストレスに負けない本』('05年/大和書房)の著者が、今度は管理職の立場から見た、部下のメンタルヘルスケアの問題を扱って解説したもので、前半は「社内うつ」とその予防や対応について、後半は、メンタルヘルスケア全般についての個人および組織・企業ぐるみの対応について書かれていています。

会社のストレスに負けない本

 本書では、職場ストレスに起因する心因性のうつ状態、うつ病、適応障害などをひっくるめて「うつ病」(会社うつ)と表現し、現実のビジネス現場で部下がこうした状態に陥らないようにするには、上司がどのように考え、行動したらよいのかを具体的に解説しています。

 人と話すことで「うつ」というのはかなり防げるわけで、本書では「傾聴」というカウンセリングの概念を重視しており(同時にそれがコーチングの基本でもあるという捉え方は正統的であるという印象を受けた)、さらに、ワークライフ・バランスの向上、アサーションの効用といったことから、認知療法、森林療法などについても触れられていますが、著者は医者ではなく、産業カウンセラーであり、また多くの外資系企業で要職にいた経歴の持ち主でもあることから、医学的な観点よりも、ビジネスパーソンの目線に立ってそれぞれ実践的に書かれています。

 最近のビジネスのトレンドの中での職場環境というものを捉えて、セクハラ・パワハラ、ITストレス、EAP(Employee Assistance Program=従業員支援プログラム)といったことにも言及しているため、やや網羅的になって1つ1つのテーマの捉え方が浅くなっている傾向がありますが(入門書というより啓蒙書?)、特定分野ごとにもっと知識を深めたいという人向けに、適宜、参考図書を紹介しています。

 〈メンタルヘルス〉を〈メンタルタフネス〉と置き換えてみると経営者の興味・反応が大きく変わるというのが、何かよくわかる気がしますが、〈メンタルタフネス〉をつけるには、3つのR(Rest 休養、Recreation 気分転換、Relaxation くうろぎ)が大事だということで、そこのところ、上司または経営者は理解してくれるでしょうか(彼ら自身が、余裕がなくなっているケースも多いけれど)。

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