【716】 △ 高城 幸司 『上司につける薬!―マネジメント入門』 (2006/09 講談社現代新書) ★★☆

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わかりやすく書かれている分、新味がなく物足りなさを感じた。

上司につける薬!.jpg高城 幸司 『上司につける薬!.jpg 高城 幸司 氏.jpg 高城 幸司 氏(セレブレイン社長)
上司につける薬!』 講談社現代新書 〔'06年〕

 上司に対する対処の仕方を書いた本のようなタイトルですが、サブタイトルに「マネジメント入門」とあるように、上司(マネジャー)にとって"マネジメント力"とは何かを説いた本。
 著者は、大学卒業後リクルートに入社し、起業支援雑誌「アントレ」の編集長、人材斡旋会社リクルートエイブリック(現リクルートエージェンシー)などを経て、人材コンサルティング会社を経営する40代前半の人で、リクルート時代"トップ"営業マンだった経験を生かして(売りにして?)、これまでに「営業力」をテーマに多くの本を書いています。

 本書は、現在マネジャーである人に向けてというよりも、30代前半の団塊ジュニア世代に向けて書かれていて、この年代からマネジメントというものを意識せよという考えやビジョンと戦略を重視する姿勢には共感できるし、マネジメントの技術論として「判断する」「叱る」「任せる」「心躍らせる」「伝える」「信頼される」の6つを挙げていているのも「ごもっとも」という感じ。

 ただし、若年層向けにわかりやすく書かれている分、「任せるのと丸投げは違う」とか意外と新味がなく、それでも読んでモチベーションアップに繋がった人もいたかもしれないけれど、物足りなさを感じた人もいたのではないでしょうか。
 現代新書であるわりには、これまで著者が書いてきた本と基調は似ており、「成功本」とまでは言わないが、一般のビジネス啓蒙書との差異が見出しがたい(内容よりもそのトーンにおいて)。

 マネジメント力をつけることにより、"よき上司"になると言うより、一足飛びに「経営メンバー」になる、或いは「ベンチャー経営者」になるという発想が現代的だと思いました。
 一方で、総じて仕事経験の浅い人の起業は成功率が低く、活躍しているのは、会社員時代に新規事業を経験したり、経営メンバーだった経験がある人だということで(169p)、この辺りが、著者が見てきた現実に近いのでは。

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