「●採用・人材確保」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1203】 樋口 弘和 『新入社員はなぜ「期待はずれ」なのか』
面接官が自身に対し言い聞かせておくべきこと。面接をしている時期に読むといい。
『採用力のある面接-ダメな面接官は学生を逃がす』 生活人新書 『面接官の本音 2008』
著者は元リクルートの人事部採用責任者で、その後採用コンサルティング会社を設立し、『面接官の本音』(日経BP社)という"就活本"シリーズを書いている人ですが、本書は企業向けに書かれた、企業が就職戦線を「勝ち抜く」ための本。
新卒採用におけるシステムとしての面接制度設定の仕方よりも、面接場面における面接官一人ひとりのスキルの向上を図ることに重点が置かれています。
具体例をあげ、面接に来た学生の能力や適性をいかにして推し量るかが書かれていますが、奇を衒わない正攻法で、かつわかりやすく書いてある分、意外と読み終えた後あまり印象に残らないかも。
でも個人的には、著者の、面接学生をリラックスさせ、出来るだけその人の持っている良い部分を引き出そうとするスタンスには共鳴します。
面接場面における心理的な側面、とりわけ面接者とのラポール(信頼関係)の構築を重視し、また、学生を「見る」だけではなく、「見られる」ことを意識した面接を、という前提に立脚しています。
こうした意識の持ち方は、企業が学生を選ぶと言うより、学生が企業を選ぶという傾向が強まるこれからの採用難の時代に向けて、ますます必要になってくるのでは。
それにも関わらず、企業の面接担当者には、まだまだ、自分たちが学生の生殺与奪権を握る絶対的優位者であるという意識がどこかにあるのではないでしょうか。
面接官が自分自身に対して言い聞かせておくべき事柄を書いた本とも言え、普段読んでもいいけれども、面接をやっている時期に読むと、よりいい本であるような気がします。