「●退職金・企業年金」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1153】 森田 朋宏 『導入モデルでわかる 適格年金のやめ方』
適年から中退共への移行を解説。事業主にも読みやすいが、プレゼン形式での進行は、コンサルする立場からも参考に。
『中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル』 (2005/09 日本法令)
本書では、「服部印刷」という仮想の中小企業を舞台に、コンサルタント(社会保険労務士)と社長や経営幹部らとの会話形式で、退職金制度の現状把握から新制度の設計、適格退職金制度の「中小企業退職金共済」(中退共)への移行までの一連の流れを、それぞれの段階での検討ポイントを示しながら、わかりやすく解説しています。
移行制度の検討に際しては、最初から「中退共」と決め打ちするではなく、退職金制度自体の廃止(退職金前払制度)、規約型の確定給付年金、確定拠出年金(本書では、中退共も確定給付年金の一種であるとしています)なども選択肢として視野に入れながら、それぞれの長所・短所を説明し、経営者の意向を確認しつつ、話が進んでいきます(臨場感ある!)。
極めて実務的な観点で書かれていて、例えば「服部印刷」では最終的に中退共で行こうということになりますが、中退共の欠点として、懲戒解雇された社員にも支払われるというものがあり、そうした問題に対する会社としての現実対応まで踏み込んで書かれています。
付録として退職金診断ができるCD-ROMが付いていて、中退共とポイント制退職金制度の設計シミュレーションができるようになっていますが、そのため、中退共を検討している企業だけでなく、退職金制度を給与比例制からポイント制に改めたいと考えている企業にとっても使える本になっていると思います。
事業主が読んでも読みやすいものだと思いますが、経営陣に対するプレゼンテーション形式で説明が進行して行くので、コンサルをやる立場からも参考になる部分は多いように思いました。