【704】 △ 長谷川 直紀 『職務・役割主義の人事 (2006/04 日経文庫) ★★★

「●人事・賃金制度」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【040】 滝田 誠一郎 『人事制度イノベーション
「●日経文庫」の インデックッスへ

人事制度のグローバル化を感じた。1冊に詰め込み過ぎて項目主義的になったのが残念。

職務・役割主義の人事.jpg 『職務・役割主義の人事』 (2006/04 日経文庫)

 著者は外資系コンサルティング会社マーサー・ヒューマンリソース・コンサルティングのコンサルタントで、本書では職能主義に代わるものとして職務・役割主義の人事を提唱していますが、職務主義と役割主義の違いを、職務・役割の評価においてボトムアップの捉え方とトップダウンの捉え方というように区分し、基本的には役割主義をメインに提唱しています。

 人材マネジメントを人事制度と人材フローマネジメントという2つの構成要素に分け、例えば人事制度については、グレード制度(等級制度)、評価制度、報酬制度の3つのコンポーネントに分けて説明し、さらに、評価制度においては「プロセス・アウトプット」の考え方などが、報酬制度においては、報酬サーベイや「洗い替え方式とメリットインクリース方式」などが解説されていて、カタカナ用語は多いのですが、読んでみればそれほど違和感はなく、それだけ人事制度というものがグローバル化してきたということでしょうか。

 このほかに、役割主義の導入事例もあり、どうみても新書1冊にしては詰め込みすぎで、結果として項目主義になり、どうしてそうするのが良いのかという説明において紙数不足のような気がしました。
 書かれていることに異を唱えるようなものはありませんが、「入門書」であろうとするためか、「バランスドスコアカード」というテクニカルタームを使わずに同趣のことを解説していたりして、むしろもっと別の部分で気を使って欲しいという感じ。

10年後の人事.jpg 『10年後の人事』('05年) 実践Q&A戦略人材マネジメント.jpg 『実践Q&A戦略人材マネジメント』('00年)

 同社コンサルタントの舞田竜宣氏が『10年後の人事』('05年)という本で、等級制度において、職能等級と職務等級の混合型を提唱していたのが少し気になっていましたが、本書では、能力開発段階にある非管理職には「人基準」の考え方の適用も考えられるが、全体としては「仕事基準」(役割基準)の考え方を貫き通していて、ウィリアム・マーサー社という社名であった時代に刊行された『図解 戦略人材マネジメント』('99年)『実践Q&A戦略人材マネジメント』('00年)に書かれたことと内容は変わっておらず、むしろそれらの単行本を読んだ方が、内容の確実な理解が得られるのではないかと思います。

About this Entry

This page contains a single entry by wada published on 2007年7月15日 00:45.

【703】 ○ 寺崎 文勝 『ニート世代の人事マネジメント』 (2006/01 中央経済社) ★★★☆ was the previous entry in this blog.

【705】 ◎ 坪野 剛司 『総解説 新企業年金 〔第2版〕―制度選択と移行の実際』 (2005/04 日本経済新聞社) ★★★★☆ is the next entry in this blog.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1