「●み 宮部 みゆき」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【504】 宮部 みゆき 『日暮らし』
サクサク読めるが、登場人物、プロットとも、平凡な"2時間ドラマ"級という感じも。
カッパ・ノベルズ〔'05年〕『誰か ----Somebody』(2003/11 実業之日本社)
ある企業の広報室に勤める私こと杉村三郎は、義父で自分が勤める企業グループの会長である今多から、自分の専属運転手だった梶田の2人の娘が、父親についての本を書きたいという話の相談にのってやってくれと頼まれる―。
梶田はこの夏のある日、自宅から遠く離れた町のマンションの前で、何者かに自転車に跳ねられ亡くなったのだが、梶田の娘たちは、亡き父親についての本を書くことが、捕まらない轢き逃げ犯への呼びかけになると考えているようだった。しかし、父親の過去を探ることに対する2人の娘姉妹の考えにはギャップが―。
ノベルズ版の帯に「宮部みゆきが丹念に描き上げた。現代ミステリーの佳作」とありますが、う〜ん、どうなんだろうか、サクサク読めてそれほど気にはならないけれど、やはり余分な描写が多すぎて、皮ばかり厚くて餡子の少ない饅頭みたいでした。
何よりも、作者の現代ミステリーに特徴的な、現代社会の闇を抉るような社会性というものが希薄で、登場人物、プロットとも、平凡な"2時間ドラマ"級という感じ。
一応、手馴れた筆の運びで、突っ掛かることなく最後まで読めてしまいますが、この作家は、同じ時期に書いている作品では、時代モノの方が面白くなってきているのではないかという気がしました。
【2005年ノベルズ版[カッパ・ノベルズ]/2007年文庫化[文春文庫]】
《読書MEMO》
・TBS系列「月曜ミステリーシアター」2013年TVドラマ化「名もなき毒」
小泉孝太郎主演
第1話~第5話「誰か Somebody」共演:深田恭子
第6話~第11「名もなき毒」共演:真矢みき