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「免疫」というものが面白いほどよくわかり、よくわかるから面白い。
『好きになる免疫学』 (2001/11 講談社)
「わかる」という謳い文句でよくわからない本が相当ありますが、この本は本当に面白いほどよく「わかる」。そして「わかる」から「面白い」。
しかも、対象としているのが、あの専門用語ばかりで難解な免疫学なのです。
冒頭の、マクロファージ、B細胞、キラーT細胞、ヘルパーT細胞などの免疫細胞たちが連携しながら大活躍する話から、〈ガン細胞〉は"胎児のまねをして"免疫細胞からの攻撃をかわすという話や、〈エイズ細胞〉は免疫反応の"司令官"であるヘルパーT細胞を直接攻撃するという話まで、マンガイラストとあわせて実に面白く読めました。
免疫細胞たちの活躍ぶりの描き方は、まるでスター・ウォーズ調!です。
アメリカのアニメ番組に、「オジー&ドリックス」という"白血球"を主人公にしたものがあるのを思い出しました(日本でもCS放送で放映)。
Ozzy and Drix
この本は、読んだ後に誰かにその内容を話したくなるのですが、自分でも驚くぐらいきちんと説明できるのです。
専門家(著者)が自分の手で説明のマンガを描いているという部分が大きいのかも知れません。
マンガ入りといっても、監修しているのは、免疫遺伝学の権威・多田富雄氏です。
同じ師弟コンビによる『好きになる分子生物学』('02年/講談社)も面白そう。
《読書MEMO》
●マクロファージ→ヘルパーT細胞→キラーT細胞・B細胞
●胸腺(胸腺でキラーT細胞は選別を受ける)
●細胞内で遺伝子組み換えが行われている(利根川 進教授)
●ガン細胞はキラーT細胞から身を隠す(胎児の仕組みと同じ)
●エイズウィルスはヘルパーT細胞を破壊する