「●動物学・古生物学」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【973】 北村 雄一 『深海生物ファイル』
今どきの図鑑の刊行スタイル。大人をも充分満足させる。
『大むかしの生物 (小学館の図鑑NEO)』 〔'04年〕 サイモン・コンウェイ・モリス 『カンブリア紀の怪物たち―進化はなぜ大爆発したか シリーズ「生命の歴史」〈1〉 (講談社現代新書)』 〔'97年〕
「小学館の図鑑NEOシリ-ズ」は、動物、植物、昆虫といったオーソドックスなテーマでの刊行が先ずあって、その後「カブトムシ・クワガタムシ」('06年)といった細かいジャンルでのより詳しい内容のものを刊行していて、この「大むかしの生物」にしても、既にシリーズの中に「恐竜」('02年)というテーマで1冊出ている上での刊行です。
同様の傾向は、ライバルの「ニューワイド学研の図鑑」にも見られ、新入学シーズンなどには、両社のシリーズ新刊・既刊分が書店に"平積み"されますが、これが今どきの図鑑の刊行形態なのだなあと、改めて思わされます。
セット刊行・セット販売されたものを丸ごとセット買いするというのが旧いパターンになりつつあるのは、インターネットの普及なども関係しているのかも。
それにしても先カンブリア時代から古生代、中生代、新生代までの生物の変遷を追った本書の充実ぶりにはちょっと驚かされ、古代生物の多様性というものを痛感します(しかし、よくここまで化石からわかるなあ。色は想像でしょうけれど)。
『カンブリア紀の怪物たち』('97年/講談社現代新書)という本が出て、NHKスペシャルなどでも一時、先カンブリア時代からカンブリア紀(古生代前期)の生物に注目していましたが(その姿がCGにしやすかった?)、最近では少し後のデボン紀とか石炭紀の、恐竜全盛時代(中生代)に入る前の生物を扱っているように、この"陸(おか)に上がったばっかり"の頃の時代の生き物が結構面白い。
それと、ずっと後の、恐竜時代後の「新生代」の生き物も、現存の動物をサイズだけ大きくしたようなものもあり、メガロドンというのはホオジロザメに似てますが、全長16mで、殆ど"ジョーズ"を超えるような世界、他にも7mのコモドオオトカゲとか8mの海牛(カイギュウ)とか、それらの方が恐竜などよりも何か新鮮なインパクトが感じられたりもします。
Megalodon
子どもに見せるつもりで買って、つい自分の書棚に置いてしまいそうになる1冊です。