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「●た 立花 隆」の インデックッスへ
宇宙の生成の「インフレーション」理論がわかりやすく解説されている。
『脳とビッグバン―生命の謎・宇宙の謎』 (2000/06 朝日新聞社)
科学の最前線で活躍する科学者とその「現場」を立花隆氏が取材するという科学誌『サイアス』の連載をまとめたもので、本書はシリーズ3冊目。
ビッグバン研究の最前線からの報告をはじめとする宇宙編と、脳や生命活動についての新発見を紹介する生命編の2部構成になっています。
第1部のビッグバン研究の最前線は、東大の佐藤勝彦教授の研究室を取材していますが、佐藤教授の宇宙の生成における「インフレーション」理論が、立花氏によってわかりやすく、かつ興味深く紹介されています。
このあたりの一般人の驚きを喚起するような氏の伝達技術はうまい。
宇宙の謎を解く研究をしている現場ってどんなのだろうという素人の興味にも応えていると思います(これがまた意外と質素・貧弱で雑然としている研究室なのです)。
第2部の「生命の謎を探る」では、子どもの脳にしかないと思われていた神経幹細胞が成人の脳にもあったことを発見した慶応大学医学部の岡野栄之研究室の「現場」などを取材していますが、科学誌に連載されたものであるためか、やや専門的です。
こうして単行本になったとき、この2つのテーマの双方に関心を持ち、その内容を理解する読者がどのくらいいるのかとも思いましたが、しっかり文庫化されているのは「立花本」ゆえでしょうか。
【2004年文庫化[朝日文庫]】
《読書MEMO》
【宇宙の生成過程】
宇宙は生まれたとき、素粒子より小さかった
●1.インフレーション以前...宇宙誕生後10の-44乗秒後にインフレーションが始まった
●2.インフレーション期...1秒の1/1兆の1/1兆の1/10億の間に、10兆倍の10兆倍の1億倍の大きさに(10の-33乗秒後に1センチぐらいの大きさに)
●3.火の玉宇宙期(ビッグバン期)(誕生から30万年まで)
●4.ポスト火の玉期(〜現在)
※ここでいう宇宙は光の到達範囲内(=観測的宇宙=100億光年内)。宇宙自体の膨張は、光速が最速といういうアインシュタインの理論の制限を受けない。