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「●宇宙学」の インデックッスへ
科学者の思考と一般の人のイメージの違いが面白い。
『僕がアインシュタインになる日―相対性理論講義』 朝日レクチャーブックス 〔'81年〕
「朝日レクチャーブックス」(朝日出版社)の1冊で、SF作家の光瀬 龍 (1928-1999/享年71)が日本を代表する一般相対性理論の研究者である宇宙物理学者・佐藤文隆(1938-)に相対性理論や宇宙論について話を聞くスタイル。1981年刊。
要するに、対談形式を通しての相対性理論・宇宙論の入門書であるのですが、個人的にはすごく面白かった1冊です。光瀬龍の質問は簡潔ですが、言葉で理解できてもイメージとして理解できないところは(それは一般読者とほぼ一致するはず)何度でも突っ込んで聞いています。この姿勢が実にいいです。
宇宙論に入ると、ますます物理学者の考え方と一般人のそれとの違いが浮き彫りになります。
膨張宇宙論において、「では宇宙の外側には何があるのか」と聞く光瀬龍に、佐藤先生は「外側はない」、今見えている領域を "宇宙"と規定しているのであって、まだ光が届いていないその先は論じないと。
"素粒子崩壊"のイメージなどについても、光瀬は粘り強く聞いて、ここも本書の"読みどころ"となっています。
今は亡き光瀬龍の、"素人"としての疑問に飽くまでもこだわり、簡単には納得しない姿勢のお陰で、本書は興味深く読めました。
尚、本書はSF作家が宇宙物理学者に話を訊くというスタイルをとっているわけですが、同じ朝日レクチャーブックスの中には、同じくSF作家(半村良(1933‐2002/享年78))が、天体物理学者(小尾信彌(1925‐))に話を訊くという『宇宙との対話-現代宇宙論講義』('79年/朝日出版社)というのもあり、こちらもお奨めです。
宇宙との対話―現代宇宙論講義 (1979年) (Lecture books)
《読書MEMO》
●《特殊相対性理論》 光の速さは一定である(光速度一定の仮定)=光を光の速さで追いかけても、光の速さで逃げていく(40-43p)
●運動していると時計がゆっくり進むー飛行機の時間(飛行機に積んだ原子時計の遅れで確認済み)(93-98p)
●コップ1個の内臓している物質エネルギーは広島型原爆ぐらい
●宇宙が1センチより小さかったときがあった