【333】 △ 陰山 英男 『学力は家庭で伸びる―今すぐ親ができること41』 (2003/04 小学館) ★★★

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たいへん真っ当な内容という印象を受けたが、実行するのはナカナカ...。

学力は家庭で伸びる.jpg  『学力は家庭で伸びる―今すぐ親ができること41』 (2003/04 小学館) 本当の学力をつける本.jpg 『本当の学力をつける本―学校でできること 家庭でできること』 (2002/03 文藝春秋)

 著者は「百ます計算」「読み書き計算」ですっかり有名になりましたが、本書は家庭内におけるルールブックであり、「学力」というものを「生きる力」というふうに広く捉えた教育論になっています。

 「習い事が多くても週3日を限度に」とか「食事のときはテレビを消す」とか「運動会で我が子をビデオで追いかけ回さない」とか、たいへん真っ当な内容であるという印象を受けました。
 「百ます計算は効果が出るまで続ける」なんてのもありますが、全体を通して、自らの試行錯誤の上に築いた信念と熱意が感じられるし、基礎体力や親子の触れ合いを大切にする一方で、過干渉を戒めるなど、バランスがとれていると思いました。
 「陰山メソッド」を簡単に言い表わせば、「読み書き計算」+「早寝・早起き・朝ご飯」ということになるのでしょうか。

 少し気になったのは、〈編者らしきが挿入している文章〉にある「山口小学校の奇跡」とかいった言葉の端々に、出版社の思惑が見えることです。
 この本の前にも、 『子供は無限に伸びる』('02年/PHP研究所)、『本当の学力をつける本』('02年/文藝春秋)を出していて、後者は発行後2年半で50万部を超える売り上げを記録し、この『学力は...』もそうですが、この後に出た本も続々とベストセラーになっています。
 何だか出版社が布教する「陰山教」みたいな感じもしないでもありません。

 それと気になるのは、書いてあることを実際にやろうとすると、家庭も〈学校化〉しなければならない気もして、結構たいへんかもしれないという感じもするのです。
 母親向けの女性誌「マフィン」に連載されたものがベースとなっているそうですが、仕事を持っている母親に対する視点などはあまり感じられなかったのが残念でした。

【2007年文庫化[小学館文庫]】

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