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「●「菊池寛賞」受賞者作」の インデックッスへ(櫻井よしこ)
「住基ネット」の管理体制の杜撰さを指摘するも、やや危機感煽り気味の感じも。
『あなたの「個人情報」が盗まれる』 (2003/08 小学館)
'02年にスタートした「住民基本台帳ネットワーク」の問題点と、制度施行の背後にある国の「国民総背番号制」的考え方や総務省の拙速な対応姿勢を非難した書。
役所の業務用パソコンが「住基ネット」に接続されていると同時にインターネット接続もされていて、自治体や職員にその危険性の自覚がない―。
システムは外部業者に丸投げで、セキュリティー対策の統括責任者もいなければファイアーウオールの意味もよくわかっていない―。
本書で示された、「住基ネット」接続自治体の多くに見られるこうした危機管理体制の杜撰さには驚かされます。
もう少しこの辺りを突っ込んで欲しかったところですが、カードの暗証番号が生年月日などの場合に起きやすいクラッキング犯罪の問題とか、どちらかと言えば利用者の責に帰するのではないかと思われる問題も同列で論じられていて、焦点がボヤけた感じも。
利用者の僅かな利便性(公立図書館の利用など)と引き換えに膨大な個人情報を得ようとする「国家の意図」に対する批判もわかることはわかりますが、こうした政治批判も付加されて、さらに"ごった煮"になった感じもします。
危機感を煽ることが先行しているような気もして、タイトル自体も、著者が「住基ネット」問題に取り組んできたジャーナリストで、長野県の「本人確認情報保護審議会委員」のメンバーでもあったことを知らない人から見れば、ただ「怖そうな話」「もしかして個人情報保護法の話?」程度にしか推測できないのではないでしょうか。
「住基ネット」問題を中心に論じたものであることがわかるようなタイトルにした方が、より親切ではないかと思いました。